宮城野親方処分と日本の伝統文化

背景画像出典:福岡県立美術館・2019年「大相撲展
白鵬画像出典:元横綱 白鵬の宮城野親方「2階級降格」「報酬減額」の懲戒処分 NHK 2024年2月23日 

更新が遅れて、目下の話題の中心からはずれておりますが、元横綱白鵬宮城野親方をめぐる騒動を取り上げることにいたします。超有名人だけに大騒動になりましたが、外国人差別だとの批判も出ていますので看過することはできません。事の本質は何なのか、熟考すべき問題ではないかと思います。

1.宮城野親方処分の真相

宮城野親方に対する日本相撲協会の処分はやりすぎだとの批判が、かなり広範囲に広がっていますが、わたしが最初に相撲協会批判を目にしたのは、江川紹子さんの以下のX投稿でした。

江川紹子さんの白鵬処分批判X

わたしはこの件での宮城野親方擁護には反対でしたので、すぐさま、江川さんの投稿を引用して処分批判への反論を投稿(引用投稿)しようとしたのですが、なぜか引用投稿がグレーアウトして選択できません。そのまま拡散投稿できる「リポスト」は、グレーの覆いがかかっておらず、選択できる状態になっていました。

つまり、宮城野親方擁護の江川さんの投稿をそのままリポスト(賛意の拡散投稿)はできるけれど、江川さんの投稿を引用して、批判コメントを書いて投稿する引用ポスト(投稿)はできない異常な状態になっていました。

もちろん、引用投稿で、江川さんの親方擁護をさらに強化する投稿もありえますが、リポスト以外はできないということは、江川さんの投稿を使った批判投稿は完全排除。何度も試みましたが、結果は同じです。一旦、Xを完全に閉じて新たに引用投稿を試みましたが、こちらも結果は同じです。批判は完全に封じられる状況です。

江川さんの投稿は影響力も大きいので、できたら江川さんの投稿を引用して反論したいと思い、ブラウザをEdgeからFirefoxに変えて引用投稿を試みました。

Googleは完全にYahooに乗っ取られていますので(*LINE、ヤフー、ネイバーの続編を書く予定)、Edgeを使っていたのですが、Edgeもダメ。そこでFirefoxに変えたところ、どうやら正常、リポストも引用ポストもOK.。やっと簡単な反論コメントをつけて以下の引用ポストできました。

 

しかしXでは、簡単なコメントしか書けませんので、当ブログでも取り上げるつもりでしたが、3月25日の西日本新聞の論壇時評でも、評者の中島岳志氏がこの問題を主テーマとして取り上げていました。

『大相撲と「入日本化」 不透明な基準は権力そのもの/伝統は変化しつつ保持すべきもの』との見出しからお分かりのように、過去の類似の事例を挙げながら、宮城野親方への処分は重すぎるとの幾人かの相撲協会批判を紹介しつつ、中島氏自身の批判や提言も披露していました。

しかし相撲協会批判は、一部の識者にとどまらず、さらに拡大。協会批判の署名活動まで進行中だとのことで、余りのんびりしておれないと、急いで反論ブログを書こうと思いつつも、更新が大幅に遅れてしまいました。

中島岳志氏の論壇批評には、様々な論者の相撲協会批判が紹介されていますが、中島氏も含めて、いずれも表現は異なれ、外国人差別だという視点に立っての批判です。しかしいずれの批判も、全て的外れです。

なぜ宮城野親方だけに厳しい処分が下されたのか。理由は単純明瞭。宮城野親方だけが明確なルール違反を続けてきたからです。宮城野親方だけが、格段に重い処罰を受けたように見えるのは、宮城野親方ほど悪質なルール違反を重ねてきた親方・力士はいなかったからです。外国出身の親方は何人もいますが、横綱時代も含めて、白鵬のように批判を浴び続けた力士はいません。

では、宮城野親方白鵬の何が問題なのか。

親方になってから未だ日も浅い宮城野親方を語る場合、横綱白鵬時代から振り返るべきだと思います。

横綱白鵬といえば、昨今のマスコミでは、歴代最多の優勝45回と大称賛されていますので、在位後半は勝つためには手段を選ばず、平然と汚い手を使い続けてきたという事実は、ほぼ隠蔽に近い特別待遇を受けてきました。

しかし白鵬は、相手力士の顔面を血だらけにしたり、眼窩を骨折させたりと、暴力相撲で勝利を勝ち取ってきたというのが偽らざる事実です。

白鵬はいつ頃から汚い手を使い始めたのかは分かりませんが、2016年の以下の記事を見つけました。

「格下力士もやり返せ」 白鵬“無品格”相撲に専門家がゲキ
2016/05/19 日刊ゲンダイDIGITAL

上記記事によると、この時期すでに汚い手は白鵬の得意技として定着していると指摘されていますので、少なくともこの1,2年ぐらい前からは始まっていたと思われます。さらに後でご紹介する白鵬のサポーターはかち上げ対策でいつから?遠藤の流血動画が話題!では、2015年5月場所で、白鵬が「サポート+エルボー」で攻撃している様子が写真入りで紹介されています。

とすると、白鵬は、2007年7月から2021年9月の横綱在位のうち、遅くとも2015年5月頃から、手段を選ばぬ手法で勝利を手にしていたことになります。白鵬が暴力相撲で勝ち取った勝利(=優勝)の数を勘案するならば、45回という優勝は実質を持たないはずです。

にもかかわらず、汚い手を使った白鵬の暴力相撲は「公認」されてきました。なぜか。

問題は、その汚い手とは、表向きは「かちあげ」や「張り手」と呼ばれる、相撲の公認技だと見なされていたことにあります。しかし実態は、相撲の技ではありませんでした。

その事実を明確に指摘したのは、外国人力士であり親方でもあった小錦(元大関)さんと武蔵川さん(元横綱武蔵丸)との以下の対談です。

小錦と武蔵川が考える外国人横綱の“品格” 「白鵬はまるで『ビンタ』しているみたい。横綱相撲ではない」2021/09/26 文春オンライン

白鵬のあのヒジはプロレスのエルボーで、相撲の技の「かち上げ」ではない。」
「なぜ何度も休場できるのか」
『「万歳! 万歳!」「お手を拝借」はおかしい』
『土俵上で戦う相手と仲良くするのはおかしい』

小見出しにもなっている対談の核心部分を抜き出していますが、相撲の技ではなく、プロレスのエルボーで攻撃していますので、眼窩が骨折したり、顔面血だらけにされたりするのも当然でした。しかも白鵬は、二重に重ねた固いサポーターで激しく突きを入れてきます。

白鵬がエルボーで使用するサポータの威力は、ボクシングのグローブに相当すると指摘している専門家もいます。サポータの中には、何か固い部材を入れているはずだと指摘していた記事も目にしたこともありましたが、仮に中に凶器になるような部材を入れずとも、何重にも重ねたサポーターは、ボクシングのグローブ並の威力を有しているのであれば、サポーター+エルボーだけでも非常に危険な凶器、相撲ではルール違反の反則技であるのは明々白々です。

以下の、白鵬のサポータに焦点を当てたブログによると、白鵬のサポーターは特注品で市販品よりも固いとのこと。それを二重にまいて顔面攻撃。白鵬のサポーターはまさに凶器そのもの。

白鵬のサポーターはかち上げ対策でいつから?遠藤の流血動画が話題!
2019/12/01 トヨトミ城

白鵬のエルボー1
Twitter
「ネット保守連合」事務局 たかすぎ
@nihonjintamasii
午後6:58 · 2017年12月8日

白鵬のエルボー2
Twitter
森 祐一
@you55mori19
2017年12月8日

以前は、たくさんWEBに公開されていた、白鵬の汚い反則技の画像は今やTwitterにしか残っていないみたいです。WEBを検索してもなかなか見つかりません。しかも上記Twitterのリンクは、現在のXでは削除されています。

余りにも衝撃的な画像なので削除したのか、白鵬擁護のために削除したのかは不明ですが、入手できたわずか2枚とはいえ、この画像だけでも、勝つためには手段を選ばずとの白鵬の戦法の汚さ、えげつなさは十分に伝わったかと思います。

しかし当時の日本相撲協会は、明白すぎる白鵬の反則技を批判もせず、制止もせずに、むしろ公認さえしており、他の力士たちにも白鵬並の汚い手を使えと言わんばかりの反応を示しています。

横綱審議委員会が苦言…白鵬サポーターエルボー問題 相撲協会は「やられるほうが情けない」
2019.11/26 zakzak

相撲協会が公認しているので当然のこととはいえ、白鵬の手段を選ばぬ戦法は、最後の45回目の優勝まで続き、白鵬を応援していたという北の富士さんもついに愛想をつかしたほどでした。

【北の富士コラム】白鵬には愛想が尽きた…44回も優勝してもまだあのような汚い手段で優勝したいのか
2021年7月18日 中日スポーツ

非常に不思議なのは、白鵬の反則技に対しては、横綱審議会は何度も警告を発し、相撲協会に対しても然るべき対応をするように提言していましたが、白鵬はもとより、相撲協会までもが、横審の提言を無視しつづけ、白鵬のやりたい放題を放置してきたことです。

当時の相撲協会の理事長は2015年11月に北の湖理事長が急死された後、現在まで八角理事長が5期連続で理事長を務めていますので、白鵬に関する不祥事はほぼ八角理事長下での出来事です。ただ、北の湖理事長も、当時すでに白鵬に関して発生していた問題に関しては一切おとがめなしの全面容認でした。

当時から不可解に思っていましたので記憶に残っているのですが、要するに、白鵬に関しては、誰がトップになっても、日本相撲協会としては、何をやってもOK状態だったらしい。

白鵬も自分は何をやってもOKだとの自覚はあったはず。度重なる横審の警告を無視するどころか、横審の委員を前に、これ見よがしに相手力士にエルボーを食らわしている画像までありました。

白鵬は、相撲協会のバックアップがあるので怖いものなしなのだろうと思いますが、素手によるかち上げではなく、二重の特注サポーターを巻いた凶器を使ってのエルボーをも公認してきた、相撲協会の対応が今回の宮城野親方事件にまで発展したことは明らかです。

凶器を使ったエルボーは、ほぼ何でもありのプロレスでも認められていないはずですが、日本相撲協会は、白鵬専売のその反則技を公認してきました。

また、「なぜ何度も休場できるのか」という疑問も現在の白鵬宮城野親方)に直結する重大問題です。通常ならば、白鵬はとっくの昔に引退して、反則技を駆使して優勝を重ねたいと思っても、不可能だったわけですが、横綱白鵬は休場頻発・連発。白鵬のような休場頻発、連発は白鵬以外には例はありません。日本人横綱にもいません。白鵬だけに認められた特権でした。

外国人差別どころか、並みいる外国人力士の中でも、白鵬にだけに認められていたやりたい放題特権を駆使して、「45回」優勝という史上「最多」の記録を残した横綱と称賛され、親方に就任しました。

相撲協会はそれを今になって突如、やり過ぎだとの批判がわき起こるほどの厳しい処分を白鵬に科したわけです。不可解といえば不可解ですが、白鵬の、凶器を使ったエルボーを相撲技のかち上げだと言いくるめて、この危険な反則技を公認し、休場頻発・連発をも容認してきた、当時の相撲協会の方が不可解すぎたと見るべきだと思います。

この不可解さの背景は何か。言うまでもなく、相撲協会の上に君臨する筋からの指導、教唆によるものだったと思われます。相撲協会を管轄する文教族のドン・森喜朗元総理は、白鵬の支援者です。あるいはそれ以上に、相撲界に君臨していた日大元理事長であった田中英寿氏も白鵬の強力な支援者でした。森氏の手下である、文科大臣を務めた馳浩氏も白鵬の支援者です。

森元総理や田中英寿氏らのバックアップがあれば、白鵬にとっては、横審はもとより、日本相撲協会も全く恐るるに足りず。むしろ、相撲協会の方が白鵬にひれ伏していた感さえあります。

しかし田中英寿氏は日大が学生の麻薬問題で大揺れしている渦中に急死。森喜朗元総理も裏金問題で大揺れしている渦中の一人として、その影響力は一気に低下。相撲協会にとっては重石が一気にはずれたような状態です。

身軽になった相撲協会はやっと、協会としての判断を下せるようになったというのが、今回の、一見、唐突にも思える宮城野親方白鵬処分に至る背後事情だと思われます。

現役時代の手段を選ばぬ行状は、当然のことながら、親方になっても再現されるはずだとはいえ、親方になった白鵬宮城野親方)に、他の類似例よりはるかに重い処罰を受けるほどの行状があったのかどうかも問われるべきだと思います。

2.親方失格の白鵬

そこで、親方になってからの問題事例も見ることにいたします。

事の発端になった弟子の暴力事件も、かなり悪質です。
「師匠失格」元横綱白鵬、北青鵬の暴力1年以上…部屋の力士「反省見られず復帰受け入れられない」
2024/02/2 読売新聞

しかし、宮城野親方の親方失格は、この事件だけではないというのがわたしの判断です。以下にその事例を紹介いたします。

その1.相撲協会の理事選出馬問題

白鵬は、親方になって1年目で理事選への出馬を画策していました。

一門衆は必死で引きとめ…元横綱・白鵬「通常は10年下積みも」親方1年目で異例の理事選出馬の狙い
2023年05月23日 Flyday

ただし、同じモンゴル出身の親方からも総スカンを食らって、やむなく出馬を断面したという。

元横綱・白鵬の凄まじい嫌われっぷり…理事長どころか理事すら絶望的の自業自得
公開日:2024/03/11 日刊ゲンダイ

理事選出馬には明確な決まりはないようですが、「通常は親方になって10年下積み」とされているとのこと。相撲にかぎらず、どんな組織団体であれ、新しいポストに就いた場合、そのポストである程度経験を積まないと、次の上位ポストには進めないというのは、古今東西、世の常識です。

その常識さえわきまえずに、たった親方1年で理事選出馬を画策したということは、白鵬は、相撲協会の決まりや慣習や伝統などを学ぶ必要は全く感じていないということです。

現役時代から白鵬は、オレがルールだとばかり、日本の相撲が営々と培ってきた決まりや慣習や伝統を完全に無視して、45回の優勝を手にしてきましたので、親方になってからも、同様の手法で日本の相撲そのものをもオレ流に変えようと目論んでいたのではないか。

それ以外の理由は考えられませんが、そうではないとの反論、白鵬擁護があるのであれば、お聞かせいただきたい。

その2.女子相撲大会を創設、推進

白鵬は現役時代から後進の育成を目指して少年相撲大会・白鵬杯を開催してきました。今年で14回目、国内外からの参加者も多く、かなりの盛況らしい。若手発掘の格好の機会になっているようです。

「白鵬杯」、昨年上回る盛況 能登からも参加で1000人超―少年相撲大会
2024年02月12日 時事通信

パチンコメーカー最大手のSANKYOがスポンサーになっていることもあり、資金も潤沢。人材発掘も白鵬が一手に引き受けている感がありますが、実は日本相撲協会白鵬杯よりはるか昔から若手発掘につながる「わんぱく相撲」を開催しており、今年で39回目。

第39回わんぱく相撲全国大会 日本相撲協会

「わんぱく相撲大会」は、1977年に子どもの健全育成を第一の目的に東京青年会議所が始め、後に日本相撲協会との共催になったという歴史もあり、出場資格は小学4年から6年までと、対象が非常に狭い。(わんぱく相撲とは わんぱく相撲の歴史

白鵬は当然のことながらこのわんぱく相撲大会のことは知った上で、白鵬杯を始めたはずですが、国内外から広く参加を募り、即入門へと繋がるような若手発掘を目指した大会を創設しました。資金が潤沢そうなスポンサーもつき、大会は順風満帆に回を重ねているようです。

白鵬はおそらく、日本の相撲のさらなる国際化をも目論んでいるのではないかと思われます。外国人力士が増えれば増えるほど、白鵬の威力も高まりますが、相撲のさらなる国際化は、日本への移民の増加問題とも重なる部分があり幅広い論議は不可欠ですが、詳論は後に回し、ここでは問題提起にとどめておきます。

宮城野親方白鵬杯の成功に気をよくしたのか、今年2024年から、女子相撲の大会も始めたという。「ドリームガールズ杯」2・11初開催 女子相撲選手の思いが形に「時代は変わった」普及発展を実感
2024年2月4日 スポニチ

スポンサーも白鵬杯と同じSANKYO。相撲をしたいという相撲好きの女子の存在が背後にあるとはいえ、白鵬には、女性は女人禁制の国技館の土俵には上がれないという、日本の相撲の伝統を打ち破りたいとの思いもあったはず。

確かに「時代は変わった」と思います。相撲をする女子は年々増えており、女子相撲大会も増えているとのこと。3/10付け西日本新聞の夕刊に、「女性力士って変?」という見出しでわりと大きな記事が出ていましたが、公的な認証を得た大会は皆無だとのこと。

海外では、女人禁制の日本の相撲もジェンダーギャップとして批判的に報道されているようですが、日本の相撲は、古事記(712年)や日本書紀(720年)にも記述されているほどに古いという。しかも両書によれば、日本の相撲の歴史は、同書成立よりはるか昔、昔の神話の時代にまで遡るほどに古いという。(相撲の歴史 相撲の神様を祀る 野見宿禰神社 日本相撲協会神々と皇室につながる「相撲」の歴史 神宮会館)

さらには、お相撲さんの埴輪が残されていますので、日本の相撲は、少なくとも埴輪(古墳時代 3~6世紀)の時代から続く長い歴史と伝統を背負っていることは、誰もが容易に確認することができます。非常にきれいな状態のお相撲さんの埴輪の写真も撮ってるのですが、見つかりませずご紹介できません。見つかり次第ご紹介いたします。

神代の時代からつづくという、古い時代の日本の相撲は単なる娯楽ではなく、神事として行われていたことは言うまでもないと思います。
平城京域に埴輪製造拠点 考案者は「相撲の神様」
2021/9/27 産経新聞

日本の相撲のその長い歴史と伝統を考えるならば、近年急激に力を増しているジェンダーギャップ論だけで、日本の相撲の偏狭さを切り捨てることが、人類史的に見ても正義だと言えるのかどうかには、大いなる疑問を感じます。

一方、女子相撲人口が年々増えているという事情を考えるならば、女性というだけで相撲から排除することが、正義だということも難しい。近年、あらゆるスポーツ競技において、かつては存在していた男女の壁はほぼ撤廃されているからです。

そうした世界スポーツの趨勢を踏まえると、女性を排除している日本の相撲の偏狭さは際だってきます。長い歴史と伝統という抽象的な論理だけを盾に、日本の相撲から、女性を排除しつづける正当性を論証することはかなり難しい。

しかしすでに国内外で行われている女子相撲を動画で見たところ、日本の大相撲と女子相撲は、似ているようで似ていない。似て非なるもの。全く別物だとの印象は拭えません。

その決定的な違いは、すでに国際化を果たしている女子相撲は、はるか昔に国際化を果たしている柔道と同様、「日本」のという冠は不要な、純粋に格闘技の一つとして抽出されている点にあります。

あえて日本の相撲の刻印を言うならば、国際化された女子相撲でも、まわしを着用している点だろうと思います。日本の相撲はまわしがなければ成り立たない競技ですので、まわしを着けるということは、女子相撲も、基本的な技は日本の相撲に準拠しているのだろうと思います。

世界には「相撲」と名の付く格闘技はいろいろありますが、まわしを着けて組み合うという競技スタイルは日本の相撲以外にはありませんので、まわしを巻くという女子相撲は、日本の相撲から派生したものであることは明らかです。

数ある格闘技の中で、日本の相撲にもっとも近いと言われているモンゴル相撲も、まわしはありません。英語でモンゴリアン・レスリングと呼ばれているように、相撲よりもレスリングに近い。というよりも、土俵もなければ、競技場枠もなく、屋外でブーツ(靴)をはいて組み合うので、日本の相撲との共通点は皆無に近い。

モンゴル相撲とは? ルールや日本相撲との違いも解説! スポスルモンゴル相撲
モンゴル相撲

ということで、競技の基本形は日本の大相撲に源流があるとはいえ、すでに指摘しましたように、日本の大相撲と女子相撲とは似て非なるものと言わざるをえません。

なぜか。何が違うのか。

全く新味はありませんが、日本の大相撲は2000年ないしは数千年もの歴史と伝統を背負う神事としての側面を持っているのに対し、近年勃興してきた女子相撲は、そうした側面とは完全に切り離されており、切り離すことで急速な国際化を果たしたとも言えるのではないかと思います。

日本の神道に由来する神事としての側面を内包したままでは、相撲の国際化は難しい。日本の神道は厳しい戒律のない緩やかな信仰形態とはいえ、特定の宗教を強制することになれば、人権侵害だとも見なされかねません。

一方、大相撲には外国人力士も大勢います。にもかかわらず現在までのところは、大相撲の神事としての側面も変わらずに継承されています。これは、外国人力士は各部屋一人と制限されていることと、入門した外国人力士に対しては様々な形で、日本の相撲の特性を理解して受容するような教育がなされてきているからだと思います。

しかし女子相撲は大相撲とは全く別世界で始まり、別世界で各種大会が実施されてきましたので、両者は似て非なるものであるのは、ある意味必然の結果でもあったわけです。

宮城野親方には、女子相撲が大相撲とは似て非なるものだとの認識はほとんどなかったと思います。宮城野親方が、女子相撲大会のさらなる普及拡大を目指してドリームガールズ杯を発足させるとほぼ同寺に、理事選出馬も画策したことは、一親方としてではなく日本相撲協会の理事として、女子相撲普及にも力を入れたいとの意欲の現れだったはず。

宮城野親方は、日本相撲協会に対して、そろそろ女子にも門戸を開けるべきではないかと具申したり相談したりせず、既成事実を作って、一方的に日本の相撲をオレ様流に変えていくという、白鵬時代からの手法を貫こうとしたわけです。

女子にも門戸を開けよと相撲協会に具申しても一蹴されるのは目に見えているとはいえ、相撲協会を完全に無視して、女子相撲の普及拡大にも本格的に乗り出した白鵬流オレ様主義を放置することは、日本の相撲にとっては、必ずしも喜ばしいこととも思えません。

なお、熊本県八代市に、八代の女相撲と呼ばれている、江戸時代からつづく伝統行事があります。
熊本県八代市・女相撲 くまもと でんしょう芸能

安政2年(1855)、新地造成時の難工事の成功を祈願して、集落の宮相撲衆を集めて竜神社に奉納したのが始まりだそうですが、何時の頃からか女性が主役の「女相撲」になったという。同じ女相撲とはいえ、こちらの女相撲は顔と手以外は全身を白装束で包み、神事としての相撲であることが瞬時に伝わってきますね。

3.横綱が象徴する大相撲の固有性

格闘技として技を競うのであれば、神事などという面倒なものは返上してもいいのではないかとの意見も出てくるかもしれません。しかし日本の大相撲が、世界各地にある「相撲」や類似の競技とは異なる、日本固有の相撲を相撲たらしめている核とは、神事としての側面を有する聖性にあることを、あらためて強調しておきたい。

神事としての聖性とは、神主さんが神前で祝詞を上げるというような、儀式だけを意味しているのではありませ。大相撲そのものが神事として実施されているといっても過言ではありません。それを象徴するのが「横綱」です。

横綱とは大相撲の最高位の地位を指すと同寺に、その地位にある力士をも表す言葉ですが、その語源は言うまでもなく、横綱だけに許された腰に締める横綱に由来します。

横綱相撲用語 力士について 日本相撲協会
明荷  着物  化粧廻し  締込  太刀  横綱  力士

雲竜型と不知火型の横綱
福岡県立美術館・2019年「大相撲展」より

照ノ富士の土俵入り

神社の注連縄
神棚のしめ縄・紙垂とは?付け方・種類・処分方法など基本を解説 お仏壇のはせがわ

横綱が腰にしめた太い横綱は、まさに神社の注連縄(しめなわ)そのもの。

横綱の土俵入りを見ると、日本の相撲は単なる格闘技ではないことは瞬時に伝わってきますね。本場所で行われる横綱の土俵入りも、神社等で行われる土俵入りも、邪気を払い、安全を祈願する神事そのものですが、そうした事情を知らない外国の方にも、横綱の土俵入りは、何か特別の儀式であることは伝わるはずです。また、そうした背景事情抜きにしても、横綱の土俵入りは簡素な美そのものを体現していると思います。

横綱だけの特別な儀式「横綱土俵入り」とは SPAIA

横綱照ノ富士が奉納土俵入り「初めてここで土俵入りできたのはうれしい」住吉大社で5年ぶり
[2024年3月2日 日刊スポーツ

日本では相撲に限らず、日本各地で行われるお祭りやそれに類する行事のほとんどは、神社と密接に関係する宗教的儀式として始まり、今日までその伝統は受け継がれています。神への奉納として実施される様々な行事は、神への崇敬の念をこめて荘厳(ショウゴン・仏教用語を借用)すべく、簡素な中にも美的に装飾する工夫が施されます。

お祭りが美々しく装飾されていることは、誰もがご存知だと思いますが、まさに武術そのものを主体にした、日本各地が行われている行事流鏑馬も、馬上の武者はもとより、馬も弓矢までもが美々しく装飾されています。

今では完全に興業化されているとはいえ、日本の大相撲は、こうした日本的伝統行事の代表格ではないかと思いますが、他のスポーツにはない大相撲固有のこの特性は、視覚的にも確認することができます。

余りにも日常的な光景なので、特に目に留めることはないかと思いますが、日本の大相撲は日本の伝統工芸品に取り囲まれています。

正装である黒紋付きに羽織や袴、浴衣などの着物類のみならず、化粧まわし、締込、床山明荷(漆塗りの葛籠(つづら)=道具入れ)など、様々な工芸品が大相撲の美を維持しています。その一部を、2019年11月に福岡市美術館で開催された「大相撲展」にて撮影した画像(撮影可)をご紹介いたします。

普段あらためて目を留めることもないかと思いますが、あらためて眺めて見ると、大相撲は数ある格闘技の中でも唯一例外的に、競技の場である土俵も含めて、日本の伝統工芸の粋を集めたものであることに気づかされます。

着物も力士の着物のみならず、行司(相撲は行司も階級社会!立行司〜序ノ口行司で服装も違うんです  Japaaan)や呼び出し(大相撲の呼出しっていったい何なの?NHK)など、力士以外の人々も、日本の伝統工芸品を身につけ、手にして仕事をしています。日本大相撲協会のサイトにも明荷  着物  化粧廻し  締込  太刀  横綱  力士と、その一部が紹介されています。

大相撲人気は、基本的には格闘技としての力士の取り組みそのものにあるとはいえ、視覚に訴える美的な要素も、空気のような存在として大相撲の魅力を支えてきたのではないかと思います。

また数ある格闘技の中で、大相撲には外国人力士は各部屋一人という厳しい制限があるにもかかわらず、モンゴルを筆頭に世界中から入門希望者が引きも切らないほどだというのも、日本の大相撲固有の魅力とステータスの高さを証明しています。

大相撲のステータスを象徴するものは、言うまでもなく横綱ですが、横綱のステータスを視覚的に表すのは、白い布で作られた横綱です。そしてその横綱を締めてなされる横綱の土俵入りは、肉体で表現された最高のステータスであり、最高の美そのものではないかと思います。

横綱が体現するステータスと美とは、神事そのものに由来しますが、大相撲を国際化する際には神事としての側面はどうなるのか、熟考すべきところだろうと思います。

目下進行中の女子相撲のように、純粋に格闘技として開いていくのか、あるいは現在の相撲協会の方針のように、日本の伝統文化として継承しつつ可能な範囲で開いていくのかは、かなりの論議を要するところだろうと思います。

しかし宮城野親方は、日本の相撲の長い歴史と伝統にはほとんど関心はなく、オレ様流で日本の大相撲を自らの配下に置き、日本の相撲界を牛耳ることにしか関心はないように思われます。

宮城野親方は、外国人力士は1人だとの規制を、オレ様流で崩そうとしているのもその現れの一つです。角界で“隠れモンゴル力士”囲い込みますます蔓延…入門時「日本在住10年」が抜け道に
2024/03/09 日刊ゲンダイ

10年以上在日すれば日本人と見なされるという決まりそのものに問題があるとはいえ、宮城野親方は資金力にモノを言わせ、モンゴルの若者を中学から日本に留学させ、自分の部屋に日本人として入門させるという特殊技を使っているという。

今回異常な暴力で力士廃業に追いやられたモンゴル人力士北青鵬も、10年以上在日していたので、出身は北海道札幌市、外国人力士としてはカウントされていません。

宮城野親方が理事や理事長に就任すれば、外国人力士1人という枠を拡大する可能性は非常に高い。同時に、女子相撲も大相撲の女性版として興業化する可能性も考えていたはずです。その結果、当然のことながら、大相撲は変容することになるはずですが、それを可として国際化を受け入れるかどうかは、相撲協会や相撲界全体で考えると同寺に、国民的な論議も必要かと思います。

しかし宮城野親方は、白鳳時代から今日まで、既成事実を拡大することでオレ様流流儀を押し通してきました。昨今のマスコミはなぜか、宮城野親方を全面的に支援という雰囲気でしたので、親方のオレ様流流儀はこの先も驀進する気配でした。しかし、日本相撲協会は猛批判を浴びながらも、親方のオレ様流流儀を強力に押しとどめる処分を科しました。

相撲博物館 日本相撲協会

4.大相撲が米メジャーから学ぶこと

米メジャー(MLB)は、今年の開幕試合のドジャースパドレス戦を韓国で開催しました。なぜ韓国なのか。その理由は、米国内で急速に進む野球離れが原因だという。

大谷翔平がソウルで開幕戦…なぜ? ヒルマン元監督にMLBがアジア市場に力を入れる理由を聞いた
2024年3月20日 東京新聞

野球といえばアメリカ発祥のスポーツで、かつて野球は、アメリカでは人気No.1を誇る、まさに名実ともにアメリカの国技にふさわしい地位を維持していました。しかしそのアメリカでは、国技野球もかつての栄光今いずこ、トップの座から転落、3位にまで落ちているという。さらに、急速に高まりつつあるサッカー人気の猛追もあり、海外でのファン層拡大に力を入れ始めているという。

【アメリカ】4大スポーツとは?ランキング形式で詳しくご紹介! スポスル

米メジャーでは頻繁にルールが変えられ、選手には負担になっていることも報道されていましたが、米国内での野球離れを防止するための方策であったことを知って、驚愕。アメリカでの野球離れはそこまで深刻になっていたのかと、心底驚きました。

米メジャーのファン層は高齢化が進み、若者の野球離れはもはや止めようがないというのが実情らしい。日本のプロ野球や野球人口も、近年はサッカー人気に押され気味だとはいえ、野球人気はさほど衰えていません。

アメリカではなぜ、かつては名実ともに国技の座に君臨していた野球人気が、急激に衰え始めたのか。理由は簡単明瞭。アメリカでは近年、短期のうちに急激に移民が増加したからです。

世界大で見れば、野球はメジャーではありません。野球が興業として成り立っているのは、アメリカと日本と台湾と韓国ぐらい。近年、アメリカに大量に流入している移民のほとんどは、野球とは無縁の国や地域の人々です。

事実、アメリカでは白人よりも非白人の人口が激増しつつあります。
米の白人人口、初の減少 20年国勢調査で民間推計
2021年6月26日  日経新聞

特に、白人の若年層の人口減少が際立っているという。米メジャーでの若年層の野球離れは、人口構成の変化と密接に関係していることは明白です。

上記日経新聞の記事のアイキャッチ画像が、サッカーに興じる移民の若者たちの写真であるのは偶然の一致ですが、アメリカでは移民の子どもたちが、ボール一つあれば遊べるサッカーやバスケットボールなどに興じる姿は、ごく日常的な光景であることを物語っているのだと思います。

米国では野球人気が衰えつつあるのは、移民の急増がもたらした必然の結果です。米国で野球人気が衰えつつあることを報じた記事やブログはいくつも目にしましたが、移民の急増が大きく影響していることを指摘した記事は目にしたことはありません。しかしこの変化は、野球とは全く無縁の国や地域からの移民の急増が影響していいることは明らかです。

大谷翔平選手の大活躍で、ドジャーズのみならず、米メジャーもかなり盛り上がっているようですが、野球そのものに関心のない移民層にまでは、大谷人気は届いていないはず。

この米メジャーの実例は、「国際化」の位相を異にしているとはいえ、日本の大相撲の行方を考える際の重大な示唆となるはずです。

銭ゲバ白鵬

なお、宮城野親方白鵬には、土俵の外での行状にも問題が発生しています。

「白鵬米」プロデュースめぐる告発文書を入手!暴行に土下座強要、金銭まで要求の一部始終
2024年3月15日 7時43分 日刊ゲンダイDIGITAL

白鵬自らが売り込んだ「白鵬米」プロデュースに絡んで、白鵬の側近が南魚沼市議を暴行し、「白鵬に2回挨拶させた」として300万円を要求したという異様な事件です。

実は、似ているといえば似ているともいえる事件が、十数年前に発生しています。東日本大震災発生を受けて、関西経済界が、白鵬を招いて被災地支援のためのパーティを開催したのですが、白鵬は集まった支援金を持って帰ったという。週刊誌に出ていましたが。新聞やTVなどでは報道されていませんので、さほど広くは知られていないかもしれません。

信じられない白鵬の行動ですが、白鵬名誉毀損で週刊誌を訴えたというニュースは見聞きしていないので、事実だったのではないかと思います。とするならば白鵬は、白鵬の名前で寄付を募ったので、集まった寄付の管理権は白鵬にあると考えたのかもしれません。白鵬米での対応を見れば、十分にあり得る動きではないかとも思えてきます。

ただ、最近ネットを検索していて、白鵬が、東北の被災地支援に力を入れている、慈善活動家であるかのような記事をいくつも目にしましたので、白鵬は、in my pocketした寄付金を被災地支援に使っているかもしれないとも考えていますが、慈善家然として被災地支援に駆けつけるという白鵬のその神経は理解不能。それ以上に理解不能なのは、この白鵬の行動を慈善活動と報じるメディアの盲目ぶりです。

バイデン大統領に贈られた輪島塗のすばらしさ

ところで、岸田総理はバイデン大統領から国賓待遇で米国に招待され、訪米中ですが、この訪米に際し、岸田総理はバイデン大統領に、以下ようなな輪島塗漆器を贈られたそうです。まさに息をのむほど美しさ。

バイデン大統領に贈られた輪島塗のカップ
バイデン大統領に贈られた輪島塗のカップ。ジル夫人にも贈られました。

バイデン大統領に贈られた輪島塗の万年筆
バイデン大統領に贈られた輪島塗の万年筆

令和六年四月十日
アメリカ合衆国大統領ジョー・バイデン氏へ輪島塗が贈られました!
田谷漆器

田谷漆器は、能登半島 永久に残るものでもご紹介しておりますが、創業200年という大老舗の輪島塗の工房です。今年の1月には新しいギャラリー開設の予定だったそうですが、その直前に巨大地震に襲われ、工房もろとも倒壊。しかしその惨禍の渦中にありながら、短期のうちに、これほどすばらしい漆器を創作なさるとは、人間技とは思えないほどです。伝統のもつ奥深い力を実感させていただいております。

能登の皆さま、被災地の皆さま、どれほどの惨禍でも復興は可能です。海を渡ったこの素晴らしい輪島塗は、復興は可能であることを象徴していると思います。日本中に勇気と誇りを与えてくれています。

能登半島地震復興支援・勧進大相撲  4/17追記 

昨日4/16、日本相撲協会主催の、<能登半島地震復興支援・勧進大相撲>が両国国技館で開催されました。
楽しそうな勧進大相撲の様子が、日本相撲協会の公式Xで紹介されています。後日、協会公式YouTubeでも公開されるそうです。

非常にユニークな勧進相撲観戦記。
能登半島地震復興支援、勧進大相撲に行ってみた。大相撲から元気を!62年ぶりの勧進相撲は本場所とは異なる魅力が満載
「相撲こそわが人生」スー女の観戦記 しろぼしマーサ  婦人公論.jp

ガザとプーチン

ガザでの戦闘は、やっと停戦に向けた話し合いが行われるとの新しい動きも出てきているようですが、この戦闘の端緒となった、昨年10月7日のハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃はあまりにも不可解すぎます。今回はこの不可解さに迫ります。(背景画像の出典:NHKガザ地区“子ども1万2300人超死亡 4年間の世界紛争地上回る” ハマス幹部二人の画像の出典:朝日新聞首謀者は車いすで地下に潜伏か イスラエルが狙うハマス最高幹部たち)

1.前例のないハマスの超異例な奇襲攻撃

ハマスによるイスラエル敵視の根底にあるのは、イスラエルによるパレスチナ圧迫が背景にあるとはいえ、今回の、イスラエルによるジェノサイドと見まがうほどの激しいガザ攻撃を招いたハマスの奇襲作戦には、国内外の多くのメディアも指摘しているように、これまでの両者間で繰り返されてきた紛争とは全く異なった展開を見せています。

ハマス自らがイスラエルによるジェノサイドまがいの激しい反撃を招いた、イスラエルへの奇襲攻撃はハマス単独では不可能であり、何らかの外部要因が介在したことは明白です。

その外部要因を明らかにすることが本号のテーマですが、イスラエルパレスチナの、2000年以上もの長い歴史と、第二次大戦後の歴史が絡む複雑な背景事情にまでは遡りません。今ここでは、イスラエルによる残虐な反撃を招いた、昨年10月に突発したハマスイスラエルへの、空前絶後の奇襲攻撃そのものに焦点を当てることにいたします。 

イスラエルのガザ侵攻の端緒となった、ハマスによる奇襲攻撃を振り返ってみると、これまで何度も何度も繰り返されてきた、イスラエルパレスチナの紛争とは明確に異なった状況下で実行されたことは明白すぎる事実です。

ハマスの今回の奇襲攻撃が前例のないものであることは、欧米を中心に国内外のメディアも明確に指摘していますが、防衛研究所の下記のレポートには、その超異例さが非常に明確かつ分かりやすく分析されています。

ハマスの前例のない対イスラエル攻撃 防衛研究所 地域研究部アジア・アフリカ研究室主任研究官 西野 正巳 2023 年 10 月 12 日

また、以下の朝日新聞オンラインには、ハマスという非国家による軍事攻撃とは思えないような、高度で多彩な攻撃手法が駆使されていたことが映像で紹介されています。 ハマスはどう壁を越えたのか 動画で見る「異例づくし」の10・7 朝日新聞 2023年12月7日

前例のない攻撃手法で、前例のない大打撃をイスラエルに与えた以上、イスラエルからも前例のない規模で激烈な反撃を受けることは、ハマスとしても十分に予測できたことは言うまでもありません。つまりハマスは、ハマスやガザの住民にも大きな被害が及ぶというリスクを承知の上で、奇襲攻撃を仕掛けたということです。

その理由としては、近年、アラブ諸国が次々イスラエルと関係改善を進め、国交樹立する事態にまで立ち至っていることに、ハマスが危機感を覚えたからだと指摘されています。防衛研究所のレポートにもその指摘がありますが、不明な点もあると次のように分析しています。

今回の、前例のない大規模攻撃は、最初で最後のものとなろう。ハマスが今回の攻撃を行った理由は既に述べたが、自らに対する大きなリスクを冒した理由には、不明瞭な点がある。要は、今回の攻撃をハマスが実行した見返りが、イスラエル軍の反撃によるガザ地区での大きな被害の発生に加えて、①ハマスガザ地区における実効支配者としての地位の喪失、②西岸地区とガザ地区におけるハマスの大幅な弱体化、③ハマスの幹部やメンバー多数の無力化(つまり、イスラエル軍による殺害)、であることをハマスは実行前から分かっていたはずであり、それでも敢えて今回の攻撃を行った理由は、まだ不明である。(ハマスの前例のない対イスラエル攻撃)

上記レポートでは、今回の奇襲攻撃によってもたらされる結果は、ハマスにとってはマイナスでしかないことは明白だと指摘しています。ここまで明確な指摘は欧米のメディアでもみかけませんでしたが、確かに、防衛研究所の指摘通りだと思います。

得るものはゼロどころかマイナスでしかないにもかかわらず、ハマスはあえて、超異例のイスラエル攻撃を仕掛けました。なぜなのか。もっとも知りたいところですが、上記レポートは、その理由は不明であると記しています。

その深い分析力からするならば、その理由についても何らかの言及があるはずですが、なぜか不明だという。何かはばかられることがあて、「不明」だとしているのでしょうか。そこで素人ながら、ハマス奇襲をめぐる謎を推測することにいたします。

国連のUNRWAハマスを支援していることは、以下の報道をはじめNHKなどでも報道されていますので、世界中に知れ渡っている事実のようです。

「パレスチナ支援」避けられぬハマスの関与 国連機関との“協力関係”も…背景にある構造的問題とは FNNプライム 飯山陽 2024年1月3日

上記の記事にある写真を見ると、ハマスが拠点にしているトンネルとは、まるで地下要塞とでも呼びたくなるほどの、大規模で堅固なものであることに驚かされます。国連には、パレスチナ支援専門のUNRWAという組織があるとのことなので、UNRWA=国連からの支援金が、ハマスの地下要塞の建設や維持費にも使われているのは事実だろうと思われます。

しかし、UNRWAハマスを支援していたとしても、UNRWAだけで今回のハマスによるイスラエル襲撃が実行できたかといえば、それは不可能だと思います。UNRWAだけの支援であれば、従来のような、攻撃レベルに留まっていたはずです。

非常に用意周到に奇襲作戦が準備されていただけではなく、多彩な戦法をスピーディに次々と展開し、初のイスラエル領内までの侵攻をも成功させたハマスの手際のよすぎる攻撃は、実践的な戦闘訓練を受けた結果によるものであることは明らかです。

2.ロシア・プーチンハマス

実はハマスは、以下のBBCの記事によると、2020年12月から、奇襲攻撃を実行した2023年10月7日までに、4回にわたって大規模な軍事訓練を実施していたという。

【検証】 ハマスはいかに10月7日のイスラエル攻撃を準備したのか 2023年11月29日 BBC

上記記事から4回の軍事訓練実施日を抽出します。 1回目 2020/12/29 2回目 2021/12/26 3回目 2022/12/28 4回目 2023/9/12

ハマスはこれらの軍事訓練の様子を動画で公開しているという。上記記事は、ハマスが公開した動画を使って、訓練と実際の奇襲攻撃との類似点を検証しているのですが、BBCの検証結果によると、事前になされていた軍事訓練とほぼ同様の作戦が10月7日の奇襲攻撃で実施されたとされています。

ただ注目すべきは、軍事訓練実施の時期です。3回までは全て12月の年末近くです。12月はイスラム教徒にとってはもっとも重要で最大のお祭り、犠牲際が行われる月ですが、3回目までは、毎年この犠牲祭が行われた後に、軍事訓練が実施されてきました。まさにジハードの訓練だったのでしょう。

しかし4回目だけは9月12日です。この訓練日の変更は、緊急的な要請によるもので、奇襲攻撃に備えた訓練であることは明らかです。これ以外の解釈が可能であれば、どなたか教えていただきたい。

問題は、巨額の資金なしには不可能な、これほど大規模で手のこんだ実践さながらの軍事訓練を支援したのはどこかということですが、イランやロシアの名前が上がっています。イランもロシアも支援したはずですが、軍事訓練が唐突に3ヶ月以上も前倒しされたことからすると、ロシアが強力に支援したことはほぼ間違いないはずです。

「ハマスの後ろにロシア…」そしてワグネルの名も…ゼレンスキー大統領元最側近が語る【報道1930】

ハマス戦闘員、奇襲攻撃前にイランで訓練 米当局者によると今回の攻撃に備えた特別な訓練だったかは不明 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 2023年10月26日

4回目の前倒し訓練は、イスラエルハマスとの間でかつて例のない大戦闘を勃発させて、ウクライナ戦争の戦況をロシアに有利に展開することを狙ったものです。しかも、奇襲攻撃は、ロシアの大統領選前に是が非でも実施せよとの強力な要請があったはず。

結果、ハマスイスラエル襲撃直前まで、世界中の目は、ロシアに侵略されたウクライナの戦場に向けられていましたが、ハマスによるイスラエル奇襲は、世界中の目をウクライナからはぎ取り、ガザへと一極集中させてしまいました。

その後の展開は、ロシアの狙い通りに進行中です。

先日実施された、茶番そのものでしかないロシアの大統領選挙では、予定通りプーチン氏は高支持率を得たという。強力なライバルをこの世から次々と葬り、批判者は立候補すらさせないという状況下で実施される選挙など全く無意味ですが、この無意味な選挙といえども、もしも戦況が悪化しロシアが敗北したり、敗北が濃厚な状況下で選挙が実施されたならば、プーチン氏は高支持率は得られなかった可能性はあります。あるいは、プーチン退陣の声すら出てきたかもしれません。

しかし、プーチン氏は、大量の自国民の犠牲も厭わないハマスの絶大な協力を得て、ウクライナの孤立化にひとまずは成功し、波乱もなく大統領茶番選挙も終わりました。ハマスは、ロシアのこの茶番選挙結果にも間接的に協力したことになります。

ガザをめぐっては、国連はもとより、世界中でハマス支援の声が圧倒していますが、ハマスが、ウクライナ戦争をロシアの勝利に導くために、イスラエルへの奇襲攻撃を実施したという事実を直視するならば、まずはハマスを厳しく非難すべきではないと思います。

イスラエルのネタにエフ首相も、ハマスが前例のない大規模攻撃を自国に対して実施することは重々承知していたことは間違いありません。ハマスによる前例のない大規模攻撃には、イスラエルとしても文字通りハマス壊滅に至るほどの前例のない大反撃で返す心づもりでいたはずです。

大戦闘になり、ハマス殲滅に成功すれば、汚職疑惑に揺れているネタにエフ首相の地位も危機から脱し、むしろ英雄として崇められる可能性さえ出てきます。しかも、ロシアのプーチンが、ウクライナで散々、残虐非道な破壊、殺戮を繰り返ししていますので、イスラエル軍が仮に残虐非道な殺戮や破壊攻撃をしても、プーチンの前例に習って貫徹できるはずだと考えていたのではないかと思います。

国内外の識者、論者は、ハマスの奇襲攻撃に気づかなかったイスラエル政府や軍がミスを糊塗するために、ハマス殲滅作戦を行っていると論評していますが、ハマスの奇襲攻撃をイスラエル政府や軍が知らないはずはありません。ネタにエフ政権は、これをハマス殲滅のまたとない好機だととらえていたはずです。

事態はその方向に進行中ですが、11月に大統領選挙にあるバイデン政権からの批判や圧力もあり、途絶えいたて停戦合意に向けた話し合いも行われるようですので、ハマスが存命する可能性はありそうです。

ハマスは、パレスチナ自治政府の無能な統治に比べるならば、学校や病院を作ったりと、民生支援の施策を行い、国民の支持は高いそうですが、予算の基本は国連からの支援だという。イスラエルに出稼ぎする以外の大半の国民には働く場所もありません。パレスチナの人々は何十年もの間、国連からの支援金で日々暮らしています。ハマスはその支援金の配分役を担っているにすぎず、パレスチナ人自らが生活費を稼ぐ場を生み出したり、提供したことはありません。

イスラエルによる絶えざる攻撃、監視の中では、産業らしい産業が育つことはおろか、生まれることすらないとは思われますが、国連の資金を使って建てた学校では、自立して生活する知識を教えず、非常に偏狭に解釈したコーラン以外は教えていないのではない。パレスチナの子どもたちは、幼い頃からジハードの戦士になることを教え込まれているのではないか。

わたしは今回初めて、イスラエルガザ地区の拡大地図を見ましたが、イスラエルの領土が圧倒しており、パレスチナの領土は非常に狭い上に、飛び地になっています。にもかかわらず、イスラエルはさらにパレスチナ領土に入植地を拡大しつづけています。

イスラエルのような身勝手で残酷非道な国は、ロシア以外にはないと断言します。 パレスチナ問題の経緯 パレスチナ子どものキャンペーン

2000年以上も前の歴史を持ちだしても正当化されるはずはありません。第二次大戦後、イギリスが二枚舌、三枚舌を使ってパレスチナイスラエルの対立のタネを作ったにせよ、長い年月に渡って、国を持たない暮らしを余儀なくされてきたユダヤの人々にパレスチナの一部が割譲されたということには、ユダヤの人々にとっては画期的な出来事であり、パレスチナの人々には心から感謝すべきではありませんか。

にもかかわらず、さらに自国領土を拡大しようとは、イスラエルの強欲さには批判以外にかける言葉はありません。ただ今回のハマスイスラエルへの奇襲攻撃は、ロシアを助けるために、ロシアの要請を受けて実施されたもので、かつての紛争ではありえなかった多数の子どもたちを含む、多数のパレスチナの人々が殺されています。ハマス自らが招いた殺戮です。

加えてハマスは、ロシアによるウクライナの破壊やウクライナの人々の殺害にも手を貸しています。ハマス幹部はロシアから大金を贈られていたのではないか。パレスチナのプラスになることはゼロどころか、マイナスでしかない奇襲攻撃。ハマスはその責任を取って解散すべきではないですか。

領土侵略を続けるイスラエルに対しては根本的な批判は絶対不可欠ですが、今回の超異例な奇襲攻撃の結果に対しては、まずはハマスが責任を取るべきです。

なお、バチカン教皇フランシスコがウクライナに対して、白旗を掲げる勇気が必要だとの驚くべき発言をしたと報じられていますが、教皇は、ウクライナはロシアの占領を受け入れるべきだと進言したことになります。信じがたい発言です。ローマ教皇はいつから侵略者ロシアの支援者になったのでしょうか。教皇もロシアから大金を贈られたのでしょうか。まことに失礼な推測ですが、教皇の発言は、それほどありえぬ推測をも招きかねない異様なものです。教皇自らが、カトリックの権威を貶めるような発言をされるとは、世界の混沌はさらに深まりそうです。

銭ゲバ議員を生み出す仕組み

政倫審によって明らかにされたのは、政治家は責任の取り方を知らないということと、政治家ほど、公然と納税拒否を表明する人々は、この日本にはいないのではないかということ。政治家というよりも自民党議員というべきかもしれませんが、巨額のカネを手にしても彼らは課税なしは当然だと開き直っています。なお、アイキャッチ画像の背景画像はCopilotで作成しました。二階俊博氏の画像の出典は自民・二階俊博氏、3年間で書籍代3500万円の不思議「家1軒分」「読書家ぶりに驚き」産経新聞。茂木幹事長の画像の出典は、茂木幹事長ら10年で億単位を「資金移動」 公開基準甘い団体に朝日新聞。他の画像は出典明示済み。)

 1.銭ゲバ議員を育成する法的仕組み

自民党議員たちの身勝手な反発で開催そのものが危ぶまれていた政治倫理審査会は、岸田総理の突然の出席表明でともかくも開催されました。

しかし岸田総理や二階派武田良太議員、安倍派から出席した松野、塩谷、西村、高木議員の4人全員の弁明は、都合のいい法解釈の披瀝と知らぬ存ぜずのオンパレードに終始し、銭ゲバ議員たちの厚顔無恥ぶりと浅ましさを改めて浮上させたという効果以外には、ほとんど意味のない時間の浪費に終わったように思われます。

確定申告ならアウト確定…政治家がカネの出入りを「不明」と訂正しても許される特別な事情 2024年2月17日 東京新聞

一部立民議員(確か寺田学議員の塩谷氏へ)の迫真的な追求はあったものの、自民党を覆い尽くしている銭ゲバ体質を揺るがすにはほど遠いのが実情です。

その根本的な理由は、現行法では、銭ゲバ議員たちに様々な逃げ道を提供しているからだと断言します。政治団体を介すれば、議員たちは、政治活動費という名目で、課税されない事実上使途不明OKの資金を,いくらでも集金、蓄財することが事実上可能になっています。税金が原資の政党助成金でも同じです。

しかも政治家は政治団体を複数もつこともOK。さらにはつい最近暴露された茂木幹事長のように、後援会を使えば規制はさらに緩くなり、不透明な巨額な蓄財も可能になっています。

抜け穴だらけの政治資金規正法については今回の裏金事件で初めて知ったのですが、複雑で細かい条件を様々設定して政治家に言い逃れ、不正摘発逃れを与えるための法律の色合いが非常に強い。

この複雑な現行法をもっとすっきりと明確な基準に変えれば、言い逃れもできなくなり、最強の不正防止策になるはずです。

政治資金も一応記帳の義務はあるようですが、人件費や光熱費などの固定費は記帳不要、その他の政治団体では、5万円未満は明細記帳は不要など経理の意義を否定する仕組みになっています。こんな例外規定があると、かえって経理処理にとっては障害でしかないと思われますが、49,999円を10回重ねると約50万円、100回で約500万円が明細不明で無税扱いでの不正蓄財も可能となります。固定費をごまかせば、もっと巨額の無税蓄財も可能。ふざけているとしか思えません。

これらの不正防止のためには、派閥を廃止すべきだとの指摘もありますが、派閥廃止だけでカネをめぐる政治家の不正がなくなるとは思えません。派閥に属さず、派閥解消すら主張している小泉進次郎議員は、裏金問題沸騰渦中に、堂々の政治資金パーティ開催で大金の寄付をゲットしています。

パーティで集めた大金は、政治家個人が直接受領した場合は違法ですが、政治団体を介すれば、ユルユルの活動資金報告の必要はあるものの、政治活動資金として無税特権を付与されています。小泉議員もその特権をフル活用しているわけです。

岸田派や安倍派、二階派は派閥廃止を決定しましたが、事実上の寄付集金組織である政治家の政治団体の廃止、禁止は話題にもならず、廃止の実行例も皆無です。

岸田総理は、野田元総理の追求を受けて、総理在任中は、政治資金パーティは開かないことを約束させられましたが、総理を辞めると、当然のことながらパーティ再開でしょう。

今回の裏金問題で国民の怒りを買った最大の要因は、自民党の議員たちが巨額の資金を手にしていながら、政治を看板にしただけで脱税が公認されているという、全く合理的根拠のない政治家特権がまかり通っている異常な状況によるものです。

政倫審で、立民の寺田議員から、使途不明の裏金に対して納税すべきではないかと問われた塩谷議員は、一瞬のためらいもなく、納税するつもりはないと異様なほど強い口調できっぱりと答えていました。わたしは、その余りにも露骨な納税拒否の表明には、心底驚かされました。政治家には、無税特権は当然だとの思いがしみこんでいる様子がありあり。

また、西村議員は経産大臣在任中に、政治資金パーティとは名ばかりの、自分の部下である経産省の官僚を10人出席させた会合を開き、大金をゲットしたという。外部に売りさばいた大量のパーティ券購入者は会合には出席せず、代わりに官僚10人を出席させたらしい。

公私混同も甚だしいですが、西村氏にはその認識は皆無のよう。西村氏をはじめ自民党議員にとっては、私的利益のために公を利用するということは、ごく日常的な政治家特権となっているということなのでしょう。

岸田総理は、総理就任祝いパーティでも不正が疑われる寄付を受けています。

【全文公開】岸田文雄首相に322万円「違法パーティー」疑惑 「総理就任を祝う会」で多額の会費を集めながら報告なし、主催は“ダミー団体”…信じがたい事実が次々判明 2024.01.22 週刊ポスト

さらに驚愕するのは、二階俊博元幹事長は、幹事長在任5年間で50億円もの政治活動費が支給されていただけではなく、ほぼ全額が使途不明だという。

自民・二階俊博氏に支給、政策活動費50億円が使途不明、原資は税金…政党交付金か 文=Business Journal編集部 2024.03.01

この異様な事態は、政治活動費と名がつけば、事実上使途不明OKだとする、現行の政治資金規正法に由来します。一部明らかになった支出の中に、書籍代として3千数百万円もの金額が計上されたことが話題になっています。

二階氏の書籍代3500万円はどれだけ規格外?公立図書館4館、小学校図書室75校分に相当…明かしていた定価1500円の“座右の書”は 女性自身 2024/2/9

公立図書館1館当たりの予算が823万円だという日本で、ありえぬ超巨額な書籍代ですが、こんな大ウソが罰せられることもなく堂々とまかり通ることを可能にしているのは、政治資金規正法が象徴するような、政治活動と名がつけば、違法が違法とはならない政治家特権容認体制です。

この特権体制や特権意識は派閥を廃止したぐらいではなくなりませんね。一般国民並みに収入と支出の透明化を図る以外に、この特権崩しは不可能だと思います。

・政治資金パーティも寄付も全く同じ扱いにして、受領した資金は全て収入として記帳する。 ・資金提供者の名前は全員公開すべきだとは思うものの、党派性を公にすることへの抵抗感を考えると、即断は難しい。 ・複数の政治団体は認めない。後援会も政治団体も、収支は全て1円まで記帳し、残余金(収益)が出た場合は納税する。 ・固定費も流動費も経費は全て1円単位まで記帳する。一般国民はすべてこの基準で経理処理をしています。 ・その他、政治家にのみ限定された特権的配慮はすべて解除し、一般国民と全く同基準の規定を適用する。

政治資金収支報告書はオンライン提出を義務化し、オンライン以外は受け付けないことを徹底する(3/10)国会議員も地方議員もすべて公僕であることを片時も忘れずに、法改正に取り組み政治を行うこと。

岸田政権は、裏金問題に対する厳しい批判の声を受けて改革案を策定し始めているようですが、逃げ道だらけの現行の複雑怪奇な政治資金規正法を、逃げ道など発生しえないような、もっと簡素で分かりやすい法律に変えるべきです。

上記列記した項目は、改革案作成の参考になると思います。

なお、政倫審に関しては、政治家特権に簡単なコメントを追記しております。確定申告の作業中でしたので長文での論評はできませんでしたが、一言コメントを書き加えました。自民党議員の感覚は一般国民からすると、同じ日本国民とは思えないほどに異常です。

*3/15   政治活動費は、領収書付きで1円まで記載する決まりになっているらしい。ということは、裏金以外は、基本的には全議員はこのルールを遵守しているということなんでしょうか。しかし、以下のような蓄財やグルメ三昧が可能な状況からしても、あるいは、政治家は無税特権は当然だという自民党議員の開き直り態度からしても、政治資金活動費に対する経理処理に対して、一般国民並の経理処理が義務づけられているとは思われません。

政治資金は1円まで記載していることを繰り返し強調していた、破廉恥パーティ開催主催者の陰の親玉、世耕氏の政倫審を聞いて一言追記。

自民党の茂木幹事長が「公費でドスケベパーティー」を叱責できぬワケ。裏金・会食・接待文化、パリピ自民の本性あらわ 2024.03.15 by 新恭 MAG2

自民・松野前官房長官の「裏金グルメ天国」国民には地獄?食いすぎ飲みすぎ嘘つき国会議員“脱税メシ”の呆れた実態 2024.03.08 by 新恭 MAG2

恥ずかしくないのか!自分で飲み食いする費用ぐらい、一般国民同様、自分で払え! *3/15

 2.岸田総理の評価をめぐって

岸田内閣の支持率は下降の一途を辿っており、岸田総理の指導力のなさにも厳しい批判が噴出していますが、わたしは、岸田政権になって様々な問題が噴出し続けてている点にこそ、岸田政権存続の唯一の根拠があると思っています。

統一協会問題も含めて、現下の裏金問題も、安倍政権下ではもとより、管政権下でも、表に出ることはありえませんでした。仮に何らかの形で表面化したとしても、官邸の圧が強かっただけに、現在とはもっと違った様相を呈していただろうと推測しています。官邸の圧とは、官邸の圧力、総理の「指導力」の強さとも言い換えることも可能です。

もちろん、これは岸田政権を支持しているという意味ではなく、ここ近年の政治情勢の動きとして認知している変化にすぎませんが、岸田政権下では、統一協会に解散命令を出しただけではなく、不動産の処分や財産隠しなどを抑止(禁止ではない)する対象となる「特定宗教法人」にも指定されました。これは注目すべき動きだろうと思います。

統一協会にどう向き合うかは、岸田政権のみならず、日本の政治家全員に対して、国会議員の資格の有無を問う、第一の関門です。岸田総理は、この第一の関門を確実に突破することによって、自らの指導力を証明する以外には道は残されていないはずです。

ただ、最近偶々聞いた国会審議の中で、看過できない岸田総理の言い逃れ(ウソ)発言があり、これについても一言。誰だったか、立民の女性議員が、子ども子育て支援の財源を社会保険から徴収するという政府方針に関して、負担する国民への徴収額が、政府発表の額と実態とが余りにもかけ離れている点を問いただしていました。

言うまでもなく、実際の徴収額がはるかに大きいとのこと。この質問に対して岸田総理は、政府発表の額は、実際の保険金を支払う被保険者の数を基礎にしたものではなく、その保険を使う人全員の数をベースにしたものだと、いささかのためらいもなく、堂々と答えていたことにはかなりの衝撃を受けました。

妻子などの扶養家族も含む利用者全数で割った金額を示し、国民1人あたりの負担額はさほど増えないとの、余りにも露骨な詐欺的手法を、国会で全く恥ずかしげもなく堂々と答弁している岸田総理には、総理大臣の資格はもとより、政治家としての資格もないと言わざるをえません。

異次元の子ども子育て支援という大風呂敷を広げながら、子ども子育て世代に大きな負担を強いる、社会保険に上乗せという姑息な収奪システムを導入した上に、負担額まで詐欺的算術を使って小額だとごまかすとは、あきれ果てて言葉もありません。

もっと、正直な政治を行うべきです。

*3/10追記 岸田総理は裏金問題をめぐる国会審議の中で、オンライン提出の体制作りを進めるために、関係部署に指示を出したと発言していましたが、政治家特権でご報告したように、システムはすでに11年も前に2億4033万5,550円を投じて構築されており、運用保守費用として、毎年6000万円近い公費が投じられているのですよ。

岸田総理はこのシステムを使っておられないどころか、すでに稼働して11年も経っていることもご存知ないらしい。というよりも、システムがあるにもかかわらず、ご自身も含めてほとんどの議員がオンライン提出をしていなという不都合な事実をごまかすために、わざと知らないふりをしているとしか思えません。

オンライン提出システムの死蔵も、政治家としての究極の目的は、我が懐を肥やすためのカネ集めだという、銭ゲバ議員の本音を象徴しています。政治資金パーティを禁止しても、銭ゲバ政治家たちの銭ゲバ度は、ほとんど低下しないはずです。であれば、おカネの流れをすっきりと透明化する仕組みを作る方が、有効なのではないかと思います。

つい先ほど、自民党青年局が開いた懇親会での、セミヌードダンサーを招いての乱痴気パーティの破廉恥騒動の報道あり。余りのことに、言葉を失いました。われわれ国民の政治に対する絶望感は深まるばかりです。*3/10追記

政治家特権

皆さんは、国会議員の全収入をご存知ですか。歳費だけではありません。公的補助による固定収入は実に多種多様、手厚くサポートされています。本稿では、公的に補助されている国会議員の全収入をご紹介します。また11年も前に、政治資金収支報告書のデジタル化対応のオンラインシステムが提供されているにもかかわらず、ほとんどの議員が使っていないという実態もバクロしております。アイキャッチ画像内の安倍派五人衆の出典・自民 安倍派 “5人の議員を中心とした体制への移行目指す” NHK

1.国会議員の収入総覧

裏金問題をめぐって、大金の裏金を手にしていた自民党議員の一部議員が政治倫理審査会に出席することになり、わずかながらこの問題にも動きが出てきました。しかし、裏金があぶり出した「政治とカネ」をめぐる問題の背景を探るには、政治資金パーティを使った集金活動だけではなく、国会議員が手にする総収入の実態をまず確認する必要があります。

国会議員が手にする収入は、歳費と政治資金パーティによる事実上の寄付金だけではないということです。調べればすぐにも分かるはずですが、意外なことには、官民いずれのサイトでもその総額を網羅して、分かりやすく一覧表示してくれているサイトは見つかりませんでした。

やむなく、次の2サイトをベースに、多少、わたしが補足したものを以下に提示いたします。

「国会議員」がもらえる"給料以外"のお金って何がある? マイナビニュース

国会議員が政治団体等に寄付(よくあるのが自身の政党へ寄付)し、確定申告により寄附金控除を申告し、所得税還付を受けるケースがあります。」税理士ドットコム

今回初めて知ったのですが、政治家の収入は様々、多種類あることに、びっくり。固定収入は全て税金からの給付です。以下、税金からの給付金は赤字、税金以外は緑で記します。

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国会議員の収入の内訳

【歳費=給与 (議長などの役職についていない一般の国会議員)

・基本給…年1,552万8000円(月額129万4000円) ・期末手当(賞与)…年約620万円年額約2,173万円

各議院の議長は月に217万円、副議長は月158万4,000円 内閣総理大臣・・・205万円

【活動費】

・調査研究広報滞在費…年1,200万円(月額100万円) ・立法事務費…年780万円(月額65万円)年額約1,980万円

JR特殊乗車券、国内定期航空券の交付・・・国政にかかわる仕事で交通機関を利用する際に使用されるチケット(「タダ券」)

審査、調査の為の派遣旅費日当・・・政府には様々な委員会があり、その委員会に属している議院が視察などの理由で各地方に派遣されることがあります。その際に発生した旅費などが支給されます。

旅費・・・公務により派遣された場合にかかった旅費が支給されます。歳費法第8条により定められています。(*タダ券があるのに、何種類もの旅費・宿泊費

弔慰金、特別弔慰金の支給・・・議員が死亡した場合、歳費月額の16カ月分が弔慰金として支給されます。また、職務に関連して死亡した場合は弔慰金のほかに歳費月額の4カ月分が加算されます。

公務上の災害に対する補償・・・公務を行っていた際に発生した災害などで、被害を受けた際に支払われる手当て。

議会雑費・・・国会の開会中に、正副議長や常任・特別委員長などの特別な役職に就いている議員には1日6,000円の雑費が支給されます。これは国会に出席した日数ではなく、出席してもしなくても開会日数分の金額が支払われます。例えば、60日開会していた場合は60×6,000円で36万円となります。

秘書給与・・・国会議員は3人の秘書の給与を公費で賄うことができます。秘書の給与はランクなどによって異なりますが、だいたい600万円~800万円と言われています。これが3人分になるので1,800~2,400万円になります。

上記の手当の中には、弔慰金のような特殊なものも含まれていますが、選挙に当選したばかりの国会議員1年目の議員でも支給される、固定収入は以下のとおり。

基本給……1,552万8,000円 期末手当……635万円 文書通信交通滞在費……1,200万円 立法事務費……780万円 秘書給与……1,800~2,400万円 合計……5,967万8,000円~6,567万8,000円 *すぐ下の【その他1】で説明しておりますが、この合計に政党助成金政党交付金)が追加される上に、議員会館(事務所)の賃料は無料、議員宿舎(住居)も超格安貸与という現物支給まであります。

【その他1】

政党からの支給…国会議員により異なる。税金から支給される政党交付金政党助成金・・・政党交付金は、当選した国会議員の数と得票数によって決まるので、選挙実施の度に金額は変動します。また、交付金から各議員に支給される金額は政党ごとに異なります。

政党交付金|国民一人当たり250円の意味や政党助成金との違いを解説 2024.02.14 スマート選挙ブログ

上記ブログによれば、最新2024年度の政党助成金は、総額315億3,600万円。各政党への配分は以下のとおり。

自民党160億5,300万円 立憲民主党68億3,500万円 日本維新の会33億9,400万円 公明党29億800万円 国民民主党11億1,900万円 れいわ新選組6億2,900万円 社民党2億8,800万円 参政党:1億8,900万円 教育無償化を実現する会:1億1,800万円

議員個人にいくらぐらい渡るのかは不明。国会議員の数は衆議院(465人)参議院(248人)合わせて713人。自民党衆議院259人、参議院118人、計377人。

自民党政党交付金160億5,300万円を、自民党の衆参国会議員総数で割ると、一人あたり約4,258万円。全額を議員個人に配るはずはないので、半分配布とすると、一人あたり約2,129万円月額にすると約355万円、かなりの額ですね。

政党交付金を加えると、当選したばかりの新人国会議員でも、以下の金額が、全額税金から返済無用で支給されます。 5,967万8,000円~6,567万8,000円+355万円=6,322万8,000円~6,922万8,000円

しかし国会議員への公的支援は、まだまだあります。以上の金銭的助成、交付に加えて、議員会館(事務所)の賃料は無料、議員宿舎(住居)も超格安貸与という現物支給もあります。

にもかかわらず、さらに政治資金パーティで巨額の集金活動!

【その他2】

・パーティーなどの寄付…国会議員により異なる。

当然のことながら、以下のような批判にも晒されます。 政治家の資金「二重取り」のズルさ 税金315億円、さらに禁止されたはずの資金源も それでも満足できず裏金か 2023年12月24日 東京新聞

2.使途不明OKが諸悪の根源

日本の政治家、というよりも自民党の政治家はカネの亡者ではないかとさえ思えてきますが、「政治とカネ」をめぐる根本問題は、亡者のようにして手にした収入は、歳費以外は無税だという、ゆがんだ政治家特権に起因しています。

多種多様な名目で、公的資金を核にした巨額の資金が政治家の手に流れ込むにもかかわらず、政治家の全収入は、歳費以外は全て無税=帳簿に記録する必要なし=使途不明でOKという、異様な政治家特権が法的に付与されていることが諸悪の根源だと思います。

公的に給付される政治活動費にも課税するかどうかは議論の余地はありますが、1円に至るまで全額記帳する義務を課すべきです。税金の補助を受けているわけですから、その使途を明示するのは当然の義務ではありませんか。

また、収支の動きを全額きちんと記帳していると、ムダを抑えることができますし、お金の流れ、動きから政治活動を振り返ることもできます。これは、お金の管理には非常にルーズであったわたしが、大借金を抱えて潰れそうな葦書房を経営する中で、身をもって体得した経理の威力です。

法人格の有無にかかわらず、零細といえども、会社経営は私的なものではなく、公的な性質も持たざるをえということです。不可避的に要請されるその公共性は、課税を絶対とした税務署という公的な権力による監視に由来しています。

しかし、中国やロシアのような独裁権力による監視ではなく、社会を公正、平穏に維持するために、われわれ国民が日本国政府に付与した権力に由来するものですので、強制的に監視されているという意識なしに、自ら進んで公的な責任を果たそうと思える責務だといえます。

加えて、収支を記帳することは、お金を何に使ったかをあらためて省みる絶好の機会にもなります。資金支出のムダの点検には、これ以上の方法はないはずです。特に公的に支給される資金については、無駄な浪費は許されません。全額記帳して使途を明示すべきです。

使途不明OKという政治家特権は、政治活動の自由を保証するものだと岸田総理は繰り返し口にしていますが、カネの使途を記帳することがなぜ政治活動の自由を阻害するのか、全く分かりません。

例えば会食した場合、誰と会食したかまでは明示する必要はないかと思いますが、使った金額が、公的資金を使うことが許される範囲のものであるかどうかが分かる程度の記載は、必須不可欠ですね。

また、政治資金パーティなどで私的に集めた資金であっても、無税特権を受ける以上、その特権を受けるにふさわしい活動であるのかどうか、その判断が可能な程度の記載は絶対不可欠ですね。この無税特権そのものも廃止すべきですね。

それがいやなら、極力お金を使わない政治活動を行うべきです。われわれ国民は、法人であれ個人であれ、1円に至るまできちんと記帳し、お金の流れを明示する義務を負っていますし、この義務を履行することで、お金の流れを自らも明示的に把握することができています。

その際、お金の流れがより詳細に分かる複式簿記は必須不可欠ですね。わたしも、収入らしい収入には乏しいながら毎年確定申告をしていますが、自分なりに考案した複式簿記で記帳しています。超零細規模なので市販のソフトは全てが過剰すぎるので、自分で帳簿を作っています。超零細なので、単式簿記でもいいらしいのですが、単式はお金の流れは把握しにくい。

超零細だとはいえ、わたしのような高齢者でも自分で経理をして確定申告もしていますのに、政治家だけがなぜ、お金の管理ができないのか、全く理解不能です。

以下の記事には、課税される場合(一般国民)と課税されない政治家特権との違いを、数値(金額)を使った対比もなされていますので、一般国民と政治家との違いがより鮮明に伝わってきます。

国会議員が得る「お金」がどれほどか知ってますか 文書通信交通滞在費の問題は継続して議論が必要 尾藤 克之 東洋経済 2022/07/22

国会議員の収入で課税対象となるのは「歳費」のみ。あとは全て非課税

一般国民は、部下や後輩を飲食に誘う場合は全て自分のポケットマネーから出していますし、同僚なとの飲食では割り勘。全て身銭を使っています。政治家は、飲食代は全て無税の政治活動費から出しているのでは?しかもその額は巨額!

おまけに付け加えると、​​国会議員が政治団体等に寄付(よくあるのが自身の政党へ寄付)し、確定申告により寄附金控除を申告し、所得税還付を受けるケースがあるという。国会で立憲民主党の議員が質問していましたが、残った裏金を自らの別の政治団体や派閥や党に寄付したりして、納税していないにもかかわらず、税の還付を受け取る、究極の税金強奪者が自民党の中にはいるはずです。

荻生田光一氏は、裏金のうち、使った金額より残ったお金の方が大きかったそうですが、その残金を派閥に寄付すると表明してましたが、解散した派閥に寄付は可能なのか?寄付して税の還付を狙っていたのでは?

ところで、松野前官房長官は、裏金問題発覚から官房長官更迭までの約2週間に、4660万円の内閣官房機密費(報償費)を自身に支出していたことが暴露されていますが、ご当人も後任の林官房長官も、ヌケヌケと国益に沿った支出だと言い放っています。

菅元官房長官も辞任前に、短期のうちに今回同様、5000万円近い機密費の支出をしていましたので、官房長官辞任前の5000万円近い機密費名目での支出は、ひそかに慣例化しているものと思われます。まさに自民党官房長官による税金強奪そのもの。恥ずかしくないのかとも思いますが、カネの亡者になっている自民党の政治家の皆さんには、恥という言葉は無縁となっています。 

さらに驚くべきニュース。 小泉進次郎氏、派閥のパーティー禁止を訴えながら「1時間で600万円」の利益が出る政治資金パーティーを開催 NEWSポストセブン 2024/2/20

政治資金パーティが大問題になっている渦中に、堂々の政治資金パーティ。小進次郎氏も紛れもない銭ゲバのお一人。というよりも、猛烈な銭ゲバだと言うべきかもしれません。もちろん、進次郎氏も恥の意識など無縁ですね。

ただ、政治家は落選したらタダの人、無職、無収入になるという身分保障のない不安定な職業なので、在任中に蓄財に励むのかもしれませんが、落選した場合の再就職支援センターのようなものが必要でしょうね。

3.収支報告書のオンラインシステムは死蔵

実は11年前の2012年に、政治資金の透明化を図ろうと、オンラインシステムが導入されています。そんなシステムがあるとは、これまで見聞きしたことはありませんでしたが、先日、NHKラジオニュースで、東大だったか、有名大学の特別研究員の工藤さんという方が紹介されていて、びっくりしました。

11年前に、1億円もかけてシステムが構築されたが、収支報告書をオンラインで提出しているのは、全国会議員のうち5%ぐらいで、ほとんどの国会議員は紙での提出だという。しかし収支報告書は公開が原則なので、官僚の皆さんが紙の報告書をPDFにして公開しているそうなので、全議員713人の95%、678人分の収支報告書のPDF化の作業をやらされているとのこと。

官僚の負担が増大するだけではなく、PDFですので、閲覧する際は検索ができません。データとして活用するためには自分で抜き出してデータ化するしかなく、非常に手間暇がかかるとのこと。

というようなお話を聞いたのですが、こんなシステムあるのに一般マスコミの大半が報じていないのはなぜなのか、非常に不可解に思いながら、ネットで改めて調べたところ、国会でも取り上げられていたが分かりました。

令和4年3月8日に衆議院に提出された立憲民主党の鈴木庸介議員による、質問趣意書に対する答弁書として提出されていました。

令和四年三月八日提出 質問第二七号 政治資金収支報告書のオンライン提出に関する質問主意書 提出者  鈴木庸介

令和四年三月十八日受領 答弁第二七号 内閣衆質二〇八第二七号 令和四年三月十八日 衆議院議員鈴木庸介君提出政治資金収支報告書のオンライン提出に関する質問に対する答弁書

上記答弁書の一部を抜粋します。

「平成二十一年度から平成二十二年度までの間に「政治資金関係申請・届出オンラインシステム」(以下「システム」という。)の構築に要した経費として二億四千三十三万五千五百五十円を支出し、令和二年度におけるシステムの運用及び保守に係る経費として五千八百二十三万二千九百円を支出した」 「総務省が令和三年十一月二十六日に公表した令和二年分の国会議員関係政治団体政治資金収支報告書は六百八十三件であり、そのうちシステムの収支報告書作成ソフトを利用して作成されたものは五百四十八件、そのうちシステムにより提出されたものは三十件である。」

上記答弁書の最重要ポイントを、分かりやすい表記に変えてご紹介します。

<システム構築費用+運用保守費用>

・政治資金関係申請・届出オンラインシステムは、平成21年(2009年)~22年(2010年)にかけて、2億4033万5,550円を投じて構築された。 ・令和2年におけるシステムの運用及び保守費用は、5823万2,900円。 (保守費用の年額、5823万2,900円)

<運用状況>

・令和2年度の国会議員関係政治団体政治資金収支報告書は、683件。 ・システムの収支報告書作成ソフトを利用して作成されたものは、548件 ・システムにより提出されたものは30件。

政治資金収支報告書は683件のうち、オンライン提出されたのは30件、約4%ですが、このシステムのソフトを使って報告書を作成しているのは、548件。約80%の議員がこのシステムの存在を知っており、報告書作成のツールとして利用しているわけです。にもかかわらず、そのままデジタルデータとしては提出すれば一瞬で済むのに、オンライン提出せずに、わざわざ手間暇かけて印刷して紙で提出しているという。あきれ果てて、言葉もない!

容易に閲覧、検索が可能になるデジタルデータでの提出は拒否するという、議員の皆さんの姿勢が余りにも露骨、露骨すぎますね。収支報告書隠蔽の意図ありありすぎだ!!!

この質問主意書が出されたのは令和3年3月。2年経った昨年度実績ではシステム利用者はやや増え、約5%だそうですが、これでは、自民党はもとより、鈴木議員の属する立憲民主党の議員の大半も未だ紙での提出のようです。

国会議員のみを対象にしたこのシステム構築費用は、工藤さんは1億円と言われていましたが、その倍以上、2億4000万円以上もかかっています。おまけに、毎年6000万円もの保守管理費用も払っているという。

しかし、オンライン提出はほとんどなされず紙で提出されていますので、官僚たちはWEBに載せるために報告書をPDF化する作業を強いられています。実際にはPDFではなく画像化されているらしいですが、どちらにせよ、膨大な作業量になります。

当然のことながら残業は不可避。官僚に過重労働を強いる結果になり、彼らの心身の健康を損なうだけではなく、残業代という新たな費用も発生。意味のない税金の浪費をも招いています。

国会議員たちは、自己保身以外何も考えていないという実態を目の当たりにして、わたしはかなりのショックを受けています。自民党をトップとする議員の皆さんは、自らはデジタル化を拒否する一方、国民に対してのみ、個人情報のデジタル化を強制していますが、余りにも筋が通らぬ、身勝手すぎる対応ではありませんか。

岸田総理は、率先垂範してオンライン提出をなさっているのでしょうね。率先垂範できないのであれば、総理大臣の資格も各種大臣の資格も、党の要職に就く資格はないと自覚すべきです。

政治家の皆さんは、あらためて以下のシステムの意義を確認すべし。

政治資金収支報告書、届出のオンラインシステム 総務省 「国会議員関係政治団体は収支報告書のオンライン提出に努める義務があります。(政治資金規正法第19条の15の規定)」

政府機関においてさえデジタル化による情報公開を拒否していますので、ある意味当然ですが、自治体においても情報公開拒否が長年続いていたという。その後、公開拒否の自治体の数も徐々に減り、現在では新潟県が唯一非公開をつづけているらしいですが、新潟県をめぐる以下の記事は、日本の政治家の情報公開の拒否の根深さを象徴的に示していると思います。この点では、中央も地方も同じ。

政治資金収支報告書のネット公開 全国で唯一見送った新潟県 2023年11月28日

上記記事によれば、アメリカの政治家は巨額の寄付を集めますが、全てデータ化され、検索も可能だという。寄付する側の情報も全て公開されますが。 参照:政治資金センター みんなで調べよう政治とカネ

4.政治家に特権付与の資格はありや?

以上見てきたように、国会議員は歳費以外にも様々な名目で公的な補助を受けていますが、岸田総理をはじめ自民党議員の皆さんは、無税、使途不明OKという政治家特権は必要だと主張しています。特権付与にふさわしい仕事をしているから当然だと思っているようです。

では、短期の民主党政権を除くと、長期にわたって、ほぼ自民党政権が続いてきた結果の、日本の現在の様子を見ることにいたしましょう。

1.GDPが、人口が日本の約7割のドイツに抜かれ、4位に転落。異常な円安やドイツの異様な物価高など、必ずしもドイツの景気が上昇した結果ではないとのことですが、日本の円安やドイツの物価高などは以前から続く傾向です。特にドイツは日本以上にウクライナ戦争の影響をモロに受け、対中貿易も激減。そんな中でGDPが日本以下にならなかったというのは、日本に反省を強いる状況だと思います。

2.人口2000万人という、日本の人口の6分の一にすぎない台湾のTSMCを、政府は巨額の国費を投じて日本に誘致。さらに、第2工場も熊本県内に建設するとの方針もTSMCから発表されており、日本経済上昇への起爆剤になりそうな展開で、熊本、九州のみならず、日本中に元気をもたらしてくれています。

かつて世界一を誇っていた日本の半導体は、事実上アメリカに潰されて低迷を余儀なくされてきました。民間企業とはいえ、政治的な圧力で低迷を余儀なくされてきた以上、日本政府はアメリカと調整しつつ、その再生に向けた支援をなすべきであるにもかかわらず、歴代自民党政権は何もしていません。

ここに来て政府は巨額の補助金を提示して、世界最大の半導体メーカーTSMCの誘致に成功しましたが、TSMCは台湾政府が、アメリカの半導体メーカの社長を務めていた、台湾出身のTSMCの創業者となった張忠謀(モリス・チャン)氏を台湾に呼び戻し、国策としてTSMCを作らせたという。(モリス・チャン Wikipedia

張忠謀氏が非常に優秀だったので、台湾政府によるこの壮大な国策も成功したのだと思いますが、時代が何を求めているか、それを見極める目が台湾政府にはあったということです。

TSMCの創業者のみならず、株価沸騰で話題のアメリカの半導体メーカーのNVIDIAも、NVIDIAを追うAMDも台湾人が創業者であり、CEOを務めています。日本では、地元の熊本大学TSMC進出決定後、大急ぎで人材育成の準備を始めています。日本のベンチャーアメリカで半導体企業を創業などということは、夢のまた夢。それどころか、IT技術者の多くを外国人に頼っている有様です。官邸の教育予算配分の選別力を強化した結果がこのザマです。

3.それどころ岸田総理は、過去の自民党政権が韓国に日本の半藤技術を無償で提供したその手法をそのまま真似て、時代の最先端をゆく量子コンピュータ技術まで、韓国に無償供与する売国策を発表しました。(韓国に貢ぐ岸田総理!)この売国策を提言した側近政治家もいるはずですが、日本の技術と技術者は、アホな政治家どもに潰され続けることになります。わたしの批判が届いて思いとどまってくれることを切に願っています。

この件で朗報あり!(2/26) 量子コンピューター新会社、富士通や日立参画 商用化へ 【イブニングスクープ】日経新聞 2024年2月26日 18:00

4.韓国といえば、先日、徴用工裁判で、韓国の最高裁が、日立造船が裁判所に預けていた供託金670万円を引き出し原告に渡すことを認め、一方的に没収されてしまいました。これまでは韓国では、日本企業に賠償を求める裁判がいくつも起こされていますが、実際に実害が出たのは初めてです。

しかし林官房長官は、例によって「遺憾」の意を表明するだけ。対抗措置を取る気配はゼロ。岸田政権には、日本企業を守るという意思はゼロ。岸田政権下で初めて、日本企業に実害が出たという責任は微塵も感じていない様子です。

また、麻生副総理の、女性差別発言で話題になった上川外務大臣も、ブラジルで開かれていたG20サミットで韓国の外相と会談した際も、友好優先で、日本企業の財産没収には、林官房長官同様、型どおりの遺憾の意を伝えただけ。

遺憾表明で済むなら子どもにも大臣は務まります。国益を毀損するだけの安易な外交しかできない政治家に、なぜ特権享受が許されるのか。

もっとも、仮に立憲民主党の政権下ならば、型どおりの遺憾表明すらないかもしれないという不安は拭えません。どうなのか、泉代表に聞いてみたいですね。

安倍政権下では、国内向けには、韓国政府の反日政策には明確に反論、批判する一方、世界大規模でまき散らされていた統一教会の強烈な反日教義に対しては、徹底した不可侵姿勢を貫いていたことが死後に判明しました。どちらも恐ろしい。

韓国政府・国民と日本の政治家の皆さんには、以下のブログを是非ともお読みいただきたい。

韓国人へ。事実を見よ!(このサイトに掲載の「戦前日本在住朝鮮人関係新聞記事検索」に関し、追記しております。) 参照:韓国関連ブログ

5.子どもを産むことはおろか、結婚すらできない若者を大勢生み出し、人口減少が加速。人手不足を移民労働で埋め合わせる状況を促進させてきました。

以上のような国益毀損の政策を、歴代政権は延々と続けてきたわけです。そんな政治しかできない政治家に、なぜ特権を付与する必要があるのですか。恥ずかしいと思いなさい!

*3/1 昨日と今日、政治倫理審査会での安倍派。二階派元幹部と野党とのやり取りを聞いて、政治活動資金を無税とする政治家特権は、日本の政治にとってはプラスになるどころかマイナスでしかないことを痛感させられました。

「使途不明」もOKとする異様な政治家特権が認められている状況下では、記帳するだけでは、厚顔無恥銭ゲバ政治家の不正抑止にはならないことがよく分かりました。政治活動資金か否かを検証することは全く無意味。

政治資金パーティで集め寄付金は、明らかに政治家商売によって得た収入です。全額収入と認定して課税すべきです。当然、一般国民と全く同様にきちんと経理処理をして納税する。(3/1)

5.荻生田光一氏と盛山文科大臣

裏金問題をめぐって、大金を手にしていた自民党の一部議員が政治倫理審査会に出席することになりましたが、安倍派五人衆の一人で、2728万円の裏金を手にした荻生田光一氏はなぜか、出席しません。事務総長には就いていないかえからだとのことらしいですが、幹部として責任ないはずはありません。それ以上に、荻生田氏個人として、国民対して説明する責任はありますよ。

荻生田氏は、統一教会問題でも全く説明責任を果たさぬままですが、裏金問題でも説明拒否を貫くつもりらしい。これほど無責任な人物が政治家であることが許されるのか。

しかも、使ったお金の使い道は不明。使途については分かり次第、明らかにするが、現時点では全て使途不明でとして訂正。それで通用、OKよ!残金は手許で保管していても、つまりは政治資金として使っていなくても課税はなし。

政治資金は現時点では無税だとはいえ、使途不明で、なぜ、納税の義務のない政治資金と認められるのか。荻生田氏も、政治倫理審査会に出席して説明すべきではないですか。

荻生田氏は、統一教会問題では説明責任を果たさぬままで、盛山文科大臣のようにボロを出さずにすり抜けたようですが、統一教会問題もまだ終わってはいません。

盛山文科大臣は、超濃厚すぎる統一教会との関係を完全に隠した上に、発覚後はふざけきった説明を繰り返すその対応ぶりに、わたしも盛山文科大臣を厳しく批判しましたが、荻生田氏は、もっと日常的に統一教会との関係を維持してきており、両氏は、統一教会との関係の濃厚さでは、甲乙付けがたいほど際だっています。

盛山氏も岸田総理も現在は関係を断っていると釈明していますが、盛山氏の事務所には、今も統一教会関係の機関誌が送られていることも暴露されています。盛山氏は、勝手に送られてきていると弁明していますが、代金を払っているから機関誌が送られてくるのではありませんか。代金を払わずとも機関誌が送られてくるのであれば、他の議員にも送られてくるはずですが、そういうニュースはゼロですね。

統一教会に関しては、22日に、東京地裁にて審問が実施されたとのことで、表面的には、解散請求に向けた動きは滞ることなく続いているようには見えます。

旧統一教会への解散命令請求、東京地裁が「審問」実施…文科省と教団が意見述べる 2024/02/22

しかし、この審問は非公開とのことなので、文科省(岸田政権)がどこまで本気で統一教会を解散に追い込む覚悟で対応しているのかどうかは、今のところは不明です。

また、信者2世が、審問が非公開であることに関し、われわれの知らないところで事が決まってしまうということがないように、国には、審問の過程も含めて情報を伝えて欲しいとの危惧も出されています。ただ、この信者2世の声を伝えたNHKのWEBニュースは、わたしが保存する前に削除されてしまいましたので、概略をお伝えします。

参照:旧統一教会「審問」前に弁護士グループが会見“迅速な審理を 2024年2月22日 NHK

統一教会問題は、今後とも、裁判での動きに注視する必要があると思います。その過程で、岸田総理と盛山大臣の釈明の真偽のほども明らかになってくるはずです。

めくら判大臣と政治の腐敗

裏金問題に加え、盛山文科大臣の統一教会癒着問題が加わり、岸田政権というよりも、自民党政権そのものの、底なしの人倫崩壊の実態が、隠しようもなくわれわれ国民の眼前に暴き出されています。これが危機だと認識している自民党議員はいるのかどうか。それが問題です。しかも、この人倫崩壊は地方にまで及んでいます。(アイキャッチ画像の盛山文科大臣の写真の出典:朝日新聞

1.めくら判盛山大臣

盛山文科大臣が、先の衆議院選挙で統一教会から推薦状をもらっていたという驚天動地の事実が明らかになり、猛批判を浴びています。

統一教会に解散命令を出す文科省の大臣に、よりによって統一教会との関係がこれほど濃厚すぎる人物を任命するとは、岸田総理の任命責任も厳しく問われるべきです。しかし、我々国民を完全にバカにしているとしか思えないような盛山大臣の答弁や釈明を、当人はもとより岸田総理も何も感じずに大臣更迭を拒否しています。底なしの無ぶりにはただただ唖然とするばかり。

盛山大臣は、この重大な事実を隠したまま文科大臣に就任したわけですが、統一教会との濃厚すぎる関係が写真付きで暴露されると、頭から否定はできないと判断したのか、そんな写真があるのであれば、推薦状をもらったのかもしれないとか、うすうす思い出してきたとか、子ども騙しにすらならないような、ふざけきった釈明を続けています。

しかも盛山氏は、推薦状は中身を読まずにサインしたという、完全に社会人失格、当然、政治家失格、ましてや文科大臣完全失格と判定せざるをえないような、ふざけきった釈明を恥ずかしげもなく口にしています。「めくら判大臣」とタイトルに付けましたが、盛山氏には、大臣の資格も政治家の資格もないのは言うまでもありません。

しかし盛山氏は、さらに厚顔無恥ぶりを発揮して、自分から推薦状は頼んでいないとも発言しています。自らは頼んでいないにもかかわらず、盛山氏は、統一教会が勝手に発行した推薦状を手に、満面の笑みを浮かべて、両脇に立つ統一協会関係者と一緒に写真に写っているではありませんか。こんなことがありうるのか。ありえぬことは子どもにも分かる道理です。

そもそも統一教会が、推薦を求めもしない候補者に、勝手に一方的に推薦状を発行するでしょうか。100%ありえません。統一教会は、自ら望むような政策を実行してくれる候補者に推薦状を発行しており、盛山氏もこの政策協定にもサインしている事実も暴露されています。統一教会が、何の見返りも求めずに、候補者を推薦するはずはないことは説明無用。

統一教会にとっても、信者をただ働きさせるにせよ、選挙支援にはカネがかかるわけですから、相応の見返りが期待できるからこそ推薦し、応援するわけですよ。統一教会が選挙応援をするということは、一般有権者が、自分が支持する候補者や政党を、ボランティアで応援するケースとは全く別次元のものであることも、説明は無用。

にもかかわらず、盛山氏は、われわれ国民をバカにし切っていなければ、とうてい口にはできないようなふざけた釈明を平然と続けてきました。

のみならず盛山氏は、統一教会が無償で選挙活動を支えてくれたという事実についても、自分は知らない、記録も残っていないとシラを切っています。自分の選挙を無償で支えてくれた人たちに、感謝の気持ちがあれば、どこの誰が応援してくれているのか、自ら声をかけ感謝の言葉もかけるはずです。自ずと、概略でもどこの誰かぐらいは分かるはずです。

しかし盛山氏は、どこの誰が選挙活動をしてくれていたのかは、知らないらしい。彼らに感謝の言葉すらかけなかったことを自白したも同然です。

統一教会をめぐる一連の言動からは、盛山氏は、底なしの恥知らずであること、卑怯千万な人物であること、恩知らずであるという、大臣はもとより、政治家としても受け入れ入れがたい人物であることが明白になりました。

しかし、さらに驚きはつづきます。ごく最近、盛山氏は、この時期に唐突に、盛山氏と統一教会との濃厚すぎる関係を暴露した一連の報道に対して、何か陰謀めいた動きだという趣旨の、まさに驚天動地の発言までし始めています。

とても正気では不可能な開き直り発言ですが、数々の証拠写真を前に、もう逃げる方法はないと追い詰められた結果、底なしに恥知らずな盛山氏も、ついに正気を失うに至ったのかとも思いました。しかし、おそらく真相は、正気を失ったふりをして逃げようとしているのではと思います。

盛山氏は、ここまで国民をバカにした発言を繰り返し、大臣の資格はないことが明白すぎるにもかかわらず、なおも文科大臣を続けようとしています。岸田総理も大臣更迭の考えのないことを繰り返し表明しています。

恥知らずな居座りを続ける盛山氏は、統一教会への解散命令を出したことを御旗に、この先も居座り続けることを繰り返し表明しています。

しかし安倍元総理銃撃事件から続く、統一教会をめぐる一連の動きの中で、解散命令を出さないという選択肢はありえなかったはず。岸田総理と自民党は、我が身の延命、政権を手放したくないという究極の選択を迫られる中で、ともかくも解散命令は出さざるをえなかったというのが、事の真相だったはず。

その解散命令を出したのが就任間もない盛山文科大臣だったわけですが、岸田総理は盛山氏が統一教会と超濃密な関係にあることを承知で、というよりもそれ故に盛山氏を文科大臣に充てたのではないか。解散命令は出さざるをえないが、統一教会のイヌである盛山氏を文科大臣に就任させることで、陰で何らかの補填をするというサインを送り、統一教会の不安払拭を図ったのではないか。盛山氏は岸田派だという。岸田総理が両者の関係を知らないはずはありません。

わたしのこの推測が全くの邪推に終わり、統一教会が正しく裁かれることを心底願っておりますが、卑怯で厚顔無恥きわまりない盛山氏には、文科大臣を続ける資格はないと声を大にして言いたい。

統一教会との関係が暴露された自民党議員は何人もいますが、これほど濃厚な関係が写真付きで暴露されたにもかかわらず、子ども騙しにすらならないような見えすいたウソ、言い訳を平然と口にしつづけた議員は他にはいないのではないか。

2.徳島県大日寺

統一協会=韓国との関連で、年末に公開した大日寺をめぐる不可解なことの後日談をご報告します。

大日寺をめぐる不可解なことでご紹介した、宗教法人法違反が疑われる大日寺について、年明け早々の一月ほど前に、管轄している徳島県庁に上記のブログも添えて問い合わせをしました。県庁設置のお問い合わせ窓口から質問しましたところ、数日後、お答えしませんという返事が届きました。

また、徳島新聞が以下のような、大日寺の大栗弘昴氏に関する記事を連載していることをネットで知り、同紙にも質問を送りました。

徳島新聞 13番大日寺の若き住職・大栗さん、3カ国語駆使し寺の魅力発信 9歳で渡米、15年間留学
2024/01/08
徳島新聞 大日寺住職・大栗弘昴さん 一問一答 宿坊運営復活させたい
2024/01/09

上記記事は有料なので記事は読んでいませんが、タイトルからすると、韓国人女性住職のご子息である、大栗弘昴さんを応援する記事であることは明らかです。

地元紙として、大日寺をめぐる不可解事に関してどう考えているのかと思い、わたしのブログを添えて、大日寺は宗教法人法違反の恐れがあるが、どう考えているのかとの質問を同紙のサイトから送りました。しかし待てども、ナシのつぶて。

そこで、文化庁に同様の質問を送ろうとしたのですが、文化庁のサイトにある宗教担当課をクリックすると文科省のサイトに遷移しました。

本来、宗教関係は文化庁の管轄ですが、統一協会問題勃発後は文科省が直接関与しているようなので、宗教関連全般が文科省の管轄に置かれているらしい。遷移した文科省の宗教担当の窓口から、わたしのブログを添えて、大日寺に対する疑惑についての質問を送りました。

しかし上記の質問に対して、通常、公的機関の窓口では受信した旨の機械的な返信が来るはずですが、それすらないまま、こちらもナシのつぶて。

宗教法人の管理監督はこれほど杜撰なのかと驚き、管轄外の官邸に以下のような質問を送りました。

 

官邸への質問 2024/1/22

能登半島地震で大変なところ、このような質問をいたしまして申し訳ございませんが、昨年末からの流れで時期が重なってしまいましてご容赦ください。

標記の件につきまして、先週1/15、文化庁のサイトから以下のような質問させていただきましたが、全く何の反応もございませんので、こちらに質問を送らせていただくことにしました。質問の趣旨は文化庁への質問と同じです。

*****文化庁への質問 2024/1/15***

以下のとおりお尋ねいたします。

四国氏十八カ所13番札所の大日寺は、韓国人女性が住職を務めているとのことで評判になっていましたが、最近はご子息も住職になられたとのことで、新たに話題を呼んでおります。わたしもつい最近このニュースを知ったばかりですが、このお寺をめぐっては数々の不可解事も浮上しております。

わたしはこれらの不可解事について、自分で運営しているサイト、葦の葉ブログ(ashi-jp.com)にて、昨年末に「大日寺をめぐる不可解なこと」(https://www.ashi-jp.com/dainichiji/)と題してブログを発信しております。

詳細は上記ブログに書いておりますが、宗教法人法違反が強く疑われ状況だと思い、管轄する徳島県に、同県サイトから質問しましたが、「回答はいたしません」との返信が届き、この重大疑惑に対する直接管轄する県としての回答はいただけませんでした。

やむなく御庁にお尋ねする次第です。

なお、新年早々からご子息住職を応援するような記事を連載している徳島新聞にも同様の質問を送りましたが、回答はありません。

以上、よろしくお尋ねいたします。

*****引用終わり***

以上、どうぞよろしくお願いいたします。

 

ある意味当然のことながら、官邸からは回答はありませんでしたが、3日後の1/25に、思いがけなくも徳島県庁からメールが届きました。官邸から何らかの指示が文化庁に出され、文化庁から徳島県庁に回答を促す指示があったのだろうと思われます。

 

徳島県経営戦略部総務課 学事調査担当でございます。

お尋ねいただいた大日寺徳島市一宮町西丁263)等について、ご連絡いたします。

大日寺徳島市一宮町西丁263)について

大日寺については、徳島県知事が所轄する宗教法人あり、大栗弘昴氏が大日寺の代表役員として、届出されております。

なお、宗教法人の役員等の欠格事由は宗教法人法第二十二条(*注1)で規定されており、その他の資格・任免については、宗教活動の自由を最大限に保証するため、自主的・自律的運営に委ねられております。

○宗教法人の事業について

宗教法人は、宗教法人法第六条により、「公益事業」または、宗教法人の目的に反しない限り「公益事業以外の事業」を行うことができると規定されております。

具体的な例としては、「公益事業」として、墓地や納骨堂の霊園事業など、

「公益事業以外の事業」として、物品販売業、不動産貸付業、旅館業、駐車場業などがあり、

宗教法人が敷地内で法律に規定される事業を行うことは可能となっております。

なお、個別の法人についての回答は差し控えさせていただきますので、ご了承ください。

○宗教法人名簿の公開について

宗教法人名簿は、県庁1階の県庁ふれあいセンターでの閲覧による公開とさせていただいております。

よろしくお願いいたします。」

 

(*注1・宗教法人法)(役員の欠格)
第二十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、代表役員、責任役員、代務者、仮代表役員又は仮責任役員となることができない。
一 未成年者
二 心身の故障によりその職務を行うに当たって必要となる認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
三 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者


もっとも知りたかったのは、3人以上置くことが義務づけられている役員名簿と、毎年提出が義務づけられている会計報告と財産目録が、大日寺から欠けることなくきちんと提出されているのかどうかだったのですが、回答メールからは分かりません。

現在は、弘昴氏が代表役員であることは当然そうだろうと思いますが、弘昴氏が、15年ものアメリカ留学中は、母親の金氏が代表役員として名簿に記載されていたのかどうか。また、3人以上の役員のうち、残りの役員も名簿に記載されているのかどうかも不明。

大日寺が、宗教法人法に従い、毎年提出が義務づけられている会計報告と財産目録、及び、3人以上の役員名簿を徳島県庁に提出しているのかどうかには、大きな疑問符が付きます。おそらく、提出していないのではないかと思います。徳島県庁は、その違法を容認してきたのではないか。

宗教法人が所轄庁に提出すべき書類とは? 文化庁

宗教法人に必要な備え付け・提出書類 全日本仏教会

前住職の不可解な死をめぐる問題は宗教法人法の管轄外なので、今回はあらためて取り上げませんか、宗教法人法違反の疑いが濃厚な大日寺の金住職に県から賞を授与したり、県の要職を委嘱したりと、金氏を徳島県のスターダムに押し上げたのは、2003年から2023年までの20年もの間、徳島県知事を務めた飯泉嘉門氏です。

飯泉氏は全国知事会会長も務めていましたが、ロクでもない超独裁知事だったということが、以下の記事で紹介されています。恐怖を覚えるほどの、飯泉独裁県政の実態がレポートされています。

2021年08月号
官僚あがりの“在任18年”職業知事がもたらした県政の歪み 
徳島・飯泉知事に湧いた「カネとオンナ」疑惑【8/18無料公開】ZAITEN

今の日本で、これほどの超独裁政治が可能なのかと、信じられないほどの、県政の完全なる私物化の実態が暴かれています。この知事のもとでなら、韓国人住職もやりたい放題だっただろうと思われます。飯泉氏は統一協会とも関係があったそうなので、韓国人には寛大だったのだろうと思います。

今の日本は、裏金作りに励むことが政治活動の目的と化したかのような、中央政界も腐りきっていますが、地方からも腐っていく。飯泉県政は、その見本そのもの。もちろん、腐るか否かはトップ次第。こんな人物に20年間も支配されていると、徳島県も、腐る以外の方向性は見出せないでしょうね。恐怖の一言。そして、腐食が進む中央と地方で共通しているのは、統一協会との癒着、浸透です。

なお、飯泉氏は言うまでもなく自民党ですが、昨年の自民3分裂知事選では、同じ自民党後藤田正純氏に6選を阻止されています。

[注目知事選]徳島、3分裂の背後で派閥うごめく…統一地方選
2023/03/29 読売新聞

政策転換に慎重姿勢、後藤田知事就任1カ月 会議の慣習は変化
杉田基2023年6月16日

能登半島 永久に残るもの

能登半島地震による被害の余りの甚大さに、識者の中からは、被災地能登での復旧復興を諦めて、被災地丸ごとの移転を進める声まで出ていますが、能登を棄てろとの提言ですね。非常に効率的でスピーディな生活の再建は可能になるかもしれませんが、人々の暮らしは、その土地特有の風土や歴史や文化、伝統などとの深い結びつきの中で営まれてきたものだと思います。アイキャッチ画像を少し変えました。2/5)

 総持寺に2度目の地震襲来

能登半島地震関連のニュースはどれも心痛むものばかりですが、中でももっとも衝撃を受けたのは、輪島市にある曹洞宗大本山總持寺祖院の倒壊をめぐるニュースです。

というのは、同寺は、2007年3月の地震でも境内の国登録有形文化財17棟全てが被災し、14年もかけて耐震強化も施し、2021年にやっと完全修復を終えたばかりだったそうです。そこに新年早々、またもや地震襲来。国登録有形文化財の多くが破壊されたという。

今回の地震による倒壊というのであればありうることですが、前回の地震被害を受け、14年もかけて完全修復を終えたところに、またもや地震。修復なったばかりのお寺に倒壊の被害。余りにも衝撃的で、わたしはこの日は夜も眠れないほどでした。

そういえば、ChatGPTに能登半島地震について尋ねた際は、
ChatGPT-3.5から4へのブレイクスルーを能登半島地震の中で考えた
今年の1月1日に発生した能登半島地震ではなく、2007年の能登半島地震について紹介してくれました。

しかしChatGPTの3.5も4も、まっ先に教えてくれた2007年の能登半島地震が、今回と全く同じ能登半島一帯で、多数の建物を損壊、倒壊させるほどの巨大地震であったとは想像もしていませんでした。当時は、その種のニュースに接した記憶がなかったからです。

ましてや、2007年の能登半島地震では、総持寺が、格別の保護が必要な国登録有形文化財であるという特殊事情があるとはいえ、修復に14年も要するほどの巨大地震に見舞われていたとは夢にも思っていませんでした。全く同じ地域、お寺、建物が16年後の今年の1月1日に、2度目の地震によって大破壊に見舞われようとは、いったい誰が想像できたでしょうか。

発災当時は、能登の観光名所である輪島朝市が地震による火災で全焼したことは繰り返し繰り返し報道されていました。全焼した輪島朝市の写真を見て、何一つ残さぬほどに完全に燃え果てた市場跡の姿には非常な衝撃を受けましたが、朝市以外の観光名所はさほど大きな被害は受けていないのかもしれないとも考えていました。

しかしネットで総持寺倒壊の動画を見て、こんなことがあるのかと、言葉にできないほどの衝撃を受けました。わたしはこの衝撃的な事実を知って、能登半島地震によって破壊された能登地域の文化財や産業の被害状況が気になり、可能な範囲で調べることにしました。

その筆頭が総持寺ですが、下図は、2007年能登半島地震被害から復興した、同寺を紹介した以下の記事に掲載されていた写真です。

2020-12-22
能登半島地震から13年9カ月、「總持寺祖院」の修復工事が完了しました 輪島たいむす

[caption id="attachment_3504" align="alignnone" width="635"]復興した総持寺の山門 2007年能登半島地震から復興した総持寺の山門[/caption]

下図は今年の能登半島地震で被害を受けた総持寺
出典:【能登半島地震】總持寺祖院も被災 曹洞宗 
文化時報

地震で破壊された総持寺

次は、今年の地震で被害を受けた総持寺の様子を撮したNHKニュース動画です。わたしが最初に見て衝撃を受けたのは、14年もかけて修復したことを詳しく伝えていた地元テレビ局の動画ニュースですが、衝撃の余り保存するのを忘れておりました。探しても見つかりませんでしたので、代わりにNHKニュースの動画をご紹介します。

一方、今年の地震前の総持寺を撮した動画や詳細な画像は見つかりませんでしたが、曹洞宗大本山總持寺祖院トップページには、今年の地震の被害を受ける前の写真が何枚もスライドになっていますので、見比べてください。

能登半島地震では大勢の方々の命が奪われ、暮らしが破壊され、発災から一つ月近く経つ今も、地域によっては、生命を維持することすら容易ではない状況がつづいているという。地震の被害は、さらに大きく、深いのではないかと思います。

輪島塗はほぼ全滅

被害は、能登の産業、文化、伝統などを継承し、保存する領域にまで及んでいます。

輪島を象徴する輪島塗の工房なども軒並み被害を受けています。輪島塗関連の事業者の数は約400社あるそうですが、その8割もの方々が地震被害に遭うという壊滅的状況だそうです。(1/28 NHK日曜討論・坂口輪島市長談)

地震被害を受けた輪島塗の工房などの写真や情報はごく一部しか確認できませんでしたが、輪島朝市にも出店していた輪島塗のお店も全て全焼していますので、壊滅的な被害のひどさは想像を絶するものだと思います。

そうした中で、非常に奇妙な被害現場を撮した写真が目に入りました。以下の画像です。

この画像は朝新聞が出典ですが、似たような写真はいろいろな媒体で紹介されていましたので、多くの方がご覧になったと思います。西日本新聞にも出ていましたし、WEBには多数紹介されていましたが、朝日新聞ポキッと折れたように倒れたビル 「どうして」救助を待つ人の嗚咽)掲載のこの写真が、周辺の様子もかなり広く鮮明に分かる写真でしたので、同紙から拝借してご紹介しております。

一目瞭然ですが、周りの様子は、このビルにつぶされた以外の木造家屋はほとんど無傷であるにもかかわらず、大きな7階建てのビルだけが、まるで浮くようにして倒壊しています。しかも拡大された下図(同じ朝日新聞出典)からも分かるように、ビル自体は、倒壊による損傷はほとんど受けていません。

ビルにおしつぶされた隣接する木造家屋は粉々に壊れています。記事を読むと、このビルに押しつぶされた家屋は他にもあり、信号機まで押しつぶされたという。

周辺の木造家屋は、ビルに押しつぶされた家屋以外は、どれも倒壊も損傷もないにもかかわらず、なぜ、堅牢なコンクリート製のビルだけが、全く損傷も受けぬまま浮くようにして倒壊したのか。これは非常に不思議、不可解な現象です。

(1月1日の震度7地震以降も毎日余震が頻発していますので、上記写真撮影以降に新たに倒壊、損壊した建物もあるかもしれませんが、1日の強震による被害の状況を確認することは重要な意味を持つと思います。2/1)

被害を受けた方々は、誰に怒りをぶつけたらいいのか、耐えがたい思いに押しつぶされそうになっておられると思います。そんな中、倒壊したビルに特別の焦点を当てることには少なからぬ抵抗を覚えますが、この奇妙さ、不可解さを直視することなしには、能登の復興も日本の防災もありえぬと思いますので、さらに考察を進めることといたします。

この一帯は地割れもないので、地震が一帯をさほど激しく揺らしていないらしいことは地面の様子からも分かります。一帯の地面がさほど激しくは揺れていないので、周辺の木造家屋も、ビルが倒れ込んだ家屋以外はほぼ無傷に近いわけですが、まるでこのビルだけを狙った特殊な力によって、浮くようにして倒されたとしか思われません。

そこで気になるのが、このビルは何のビルなのかということです。ところがこれまた不思議なことに、この倒壊したビルの写真は多数の媒体で紹介されているにもかかわらず、ビルに関する情報はどこにもありません。皆無です。

一帯では、このビルだけが唯一の高層建築物で、おそらく誰もが知っている有名なビルだったはずですが、そのビルの名前すらどこも報じていません。意図的に隠しているのではないかと思われるほどです。

かなりネット検索を重ねて、やっと手がかりが得られそうな、以下のAmebaブログを発見しました。
受け継がれる輪島塗"伝統の美"!五島屋 城下町・金沢本舗 2013年06月21日

10年ほど前に公開されたブログですが、石川県の逸品を紹介している「城下町・金沢本舗」のSATAFF BLOG「受け継がれる輪島塗"伝統の美"!五島屋」です。大正13年1924年)創業の五島屋という老舗の、輪島塗の数々が紹介されていますが、このブログの最下段に、五島屋の店舗入り口を撮した写真が紹介されています。

この正面玄関の画像だけでも、倒れたビルではないかと推測は可能ですが、さらに検索を重ねてこの画像を拡張するような写真も見つけました。

やっと推測可能になったビル名「五島屋」を手がかりに検索しましたが、倒壊前の写真を見つけることは簡単ではありませんでした。しかし、このビルの正体(真実)を知りたいという一念でやっと見つけました。

それが、以下の画像です。


ここまでくると、倒壊したビルは、輪島塗の老舗、この五島屋のビルであることは明白です。地元の方々はもとより、輪島塗に関心のある方々にはよく知られていた有名な輪島塗のビルであったことは言うまでもないはずですが、ビルに関する情報が徹底して伏されていたのは不可解の一語です。

五島屋ギャラリー・宝石箱

ちなみに、五島屋1924年創業だとのことですが、ちょうど創業100年目を迎える本年2024年の元旦に倒壊しました。偶然だというには余りにも残酷すぎる偶然です。

また、五島屋よりもさらに古い、創業200年になる輪島塗の老舗田谷漆器は、建物が全壊に近い被害を受けています。のみならず、1月末にギャラリーをオープンする予定だったという。こちらも偶然にしては余りにも残酷すぎる偶然です。

「さらに強い輪島塗に」 材料も職人も失って絶望する老舗漆器店に再起を誓わせた1000件の激励 
1月末にギャラリーオープン予定だった。田谷漆器

田谷漆器・漆銀カップ「春夏秋冬」

他にも輪島塗関係の被害は広範囲に及んでいます。

輪島漆器大雅堂 (全壊でしばらく休業)

輪島漆器大雅堂・輪島塗菓子器「紅葉蒔絵」

輪島塗会館

輪島工房長屋

どの建物も、全壊、半壊、損傷を受けているものと思われます。

加賀百万石を支えた能登北前船

学生時代、わたしは国文科のみんなと金沢旅行をしました。京都とは違った、落ち着いた雰囲気の古都のたたずまいに魅了されたことを覚えています。以来、石川県を訪れる機会はありませんでしたが、1,2年前だったか、九州国立博物館で加賀百万石の贅を尽くした宝物展(正式の展覧会名は失念)を見ました。まさに加賀百万石の豊かさを映し出した展示でした。

ところで、”加賀百万石”とは誰もが知っている歴史用語ですが、下のランキングをご覧ください。
江戸時代の大名石高ランキング(前編1~5位) : トップはやっぱり100万石のあの藩 

百万石とは、とてつもない石高だったのですね。江戸時代の大名の石高では加賀藩・前田家は第一位です。徳川幕府に次ぐ大金持ちでした。ただし、この石高は上記ランキングの解説にもあるように、「米の生産高だけではなく、海産物や工業製品などの特産品の収入も、石高に換算されていた」という。つまり、当時の藩の全産業における全生産高を意味していたということです。

今でいうならば、GDPに近いのではないかと思います。つまりは、当時の加賀藩(現石川県)は、江戸に次ぐ経済規模を誇っていた、非常に裕福な藩、土地であったということです。前田家は豊臣方についていたので、身分は外様大名でしたが、幕府に次ぐ大金持ち!

実は、この加賀の地に莫大な財をもたらしたものは、北前船と呼ばれた交易事業でした。
北前船寄港地・船主集落(冊子)輪島市

上記冊子をスクロールしていただくと、北前船についての熱い物語(歴史)が次々と姿を現します。

北前船の最大の特徴は、単に荷物を運ぶだけではなく、荷主が直接荷積みした品々を各地で売って回った点にあるという。今とは違い、交通手段が限られた当時、船を使って、北海道から下関までの広域を回りながらの交易事業は莫大な富を生み出しました。

各地の特産品を仕入れては売り、売りながら仕入れるという手法は、非常に効率がよく、仕入れたは品々はほぼ確実に売れることは説明不要でしょう。時には荒れる海相手の命の危険にも遭遇しながらの大事業。莫大な富がもたらされたのも、ある意味当然でした。

日本遺産『荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~』輪島市
上記には、「動く総合商社」と呼ばれた北前船について、簡潔に解説されています。

加賀友禅、輪島塗などの今現在も日本を代表する名品も、地方にありながら江戸に次ぐ加賀の豊かさによって生み出されたものであったことはいうまでもありません。実は今回の地震の直前までは、北前船の栄華を印す、船主の一人であった角海家の旧宅が、国指定重要文化財として輪島市内にありました。

下図は、2007年の地震で損壊、修復し終えた角海家住宅の写真です。

角海家入り口

角海家住宅内部

角海家住宅全景

今年の1月1日の地震で全壊した角海家住宅

【輪島市】黒島地区の代表的な廻船問屋住宅である国指定重要文化財「旧角海家住宅」 DISCOVER NOTO

加賀百万石の魅力とは?その歴史・伝統・文化に触れる ほっと石川旅ねっと

この国指定重要文化財も、2007年の地震による損壊を修復して数年経った今年の元旦、またもや地震に襲われ、粉々に崩れてしまいました。

キリコ祭り

地震をめぐって能登について書き始めましたが、非常に有名な土地でありながら、彼の地についてはほとんど知らないことに気づかされ、半ば茫然としています。ネットを介して少し調べ始めたところ、能登の文化の層の厚さに圧倒されています。

言うまでもなく、圧倒されるほどの文化の層の厚さとは、営々と積み重ねられてきた、人々の日々の営みそのものと一体化した文化の豊饒さを意味しています。

それを象徴するのがキリコ祭りです。キリコ祭りは、江戸時代からつづく、「巨大な燈籠「キリコ」が威勢のいい掛け声とともにまちを練り歩き乱舞する」豪快・華麗・勇壮なお祭りだとのことです。

詳しくは以下のサイトをご覧ください。
日本遺産「灯り舞う半島 能登〜熱狂のキリコ祭り〜」能登のキリコ祭り 
日本遺産「灯り舞う半島 能登〜熱狂のキリコ祭り〜」 活性化協議会

 能登は「祭りの国」である。人々の生活はいつも神仏や祖霊、自然と共にあり、時代が移り生活様式が変わっても、祭りは今も住民の心の支えになっている。能登の祭りは多種多彩だが、中でも「キリコ祭り」と称される灯籠神事は、能登の祭りの白眉である。
 「キリコ祭り」の歴史は江戸時代に遡る。時とともに、海、山を伝って七尾市志賀町以北の能登一円に広く伝播した。その数は現在でもおよそ200あるといわれている。加えて、開催される期間も7月から10月と長期にまたがっており、この時期、能登を旅すれば必ずキリコ祭りに巡り会えるといっても過言ではない。

能登のキリコ祭り

わたしは、石川県能登に、これほど豪華絢爛、大規模なお祭りがあったとは全く知りませんでした。今回初めてネットで発見して驚愕しています。

わたしは数年前、偶然のきっかけで、地元の福岡博多の祇園山笠を当サイトでご紹介したのを皮切りに、日本全国のお祭りを画像で紹介してきました。
(参照:貿易規制騒動 2019-07-05・・・このブログからお祭りのご紹介スタート、約1年近くつづきました。)

「日本の祭り」などのキーワードで検索しながら、沖縄から北海道までのお祭りの画像を収集しながらご紹介してきましたが、「キリコ祭り」というのは、一度も目にしたことはありませんでした。それだけに驚きの度合いも格別に大きい。なぜ、これほどのお祭りに気がつかなかったのかと、ほんとうに驚いています。

キリコ祭りの豪快・華麗・勇壮さは、実際に見るのが一番だと思いますが、日本遺産「灯り舞う半島 能登〜熱狂のキリコ祭り〜」能登のキリコ祭りの数々の写真からも十二分に伝わってくると思います。

輪島市穴水町七尾市など、能登半島一帯のほぼ全地域が参加している、他に余り例のない大規模なお祭りです。その数200!期間も7月から10月にまでつづく超長期!破天荒な規模ではないかと思います。つまり、能登は、これほど大規模なお祭りを支えうるほどに、財政的にも文化的にも非常に豊かであったということです。

ユネスコにも登録されて、全国的にも有名な博多祇園山笠は、福岡市博多区にある七流れと呼ばれる地域を拠点に行われる豪壮、華麗なお祭りですが、規模としてはキリコ祭りが上ですね。博多の場合は、江戸時代は、町人が住んでいた博多部と、福岡城があり、武士が住んでいた福岡部が画然と分かたれつつも、両地域が隣接しているという地形や歴史的背景もあるかと思います。

しかしこの博多・福岡も、太平洋戦争では米軍による激しい空爆を受け、一帯が完全な焼け野原と化してしまいました。写真で見ただけですが、ちょうど、輪島朝市の焼失状況と同じような、何もない焼け跡が黒々と広がっていました。

戦時下での空爆破壊と、平時における巨大地震による破壊。いずれの破壊も、絶望そのものの世界ですが、博多では敗戦後の翌年、焼け残った山笠を舁(か)き、焼け跡の残る博多の町を走ったという。無からの復興の第一歩となりました。

キリコ祭りにも無から、あるいはマイナスからの復興をも可能にする力があるはずです。
日本遺産「灯り舞う半島 能登〜熱狂のキリコ祭り〜」能登のキリコ祭り
の中からいくつかお祭りの画像をご紹介させていただきます。詳細は上記サイトをご覧ください。

キリコ祭りは200もあるそうなので、全部をここにご紹介することはできませんが、写真を見ているだけでも元気がもらえますね。

全貌はこちらでどうぞ。
日本遺産「灯り舞う半島 能登〜熱狂のキリコ祭り〜」能登のキリコ祭り

新しい祭り

先日、西日本新聞能登で始まった新しいお祭りの紹介記事が出ていました。
地域共同体のやわらかな強さで互助 珠洲という地と人に心を寄せて
「奥能登国際芸術祭」の総合ディレクター北川フラムさん寄稿

2024/1/24 西日本新聞 

新しいお祭りは、石川県珠洲市を舞台に、国内外のアーチストの作品とともに、土地の文化を発信する「奥能登国際芸術祭」として2017年に始まったそうです。昨年も例年通り開催予定のところ、5月に震度6強のかなり強い地震に見舞われたそうですが、3週間遅らせたものの芸術祭は開催したという。

復旧に尽力しつつ開催するのが地域の元気につながると考え、3週間延期の後に始まり、好評のうちに閉会を迎えました。「何とかやれて良かったね」とホッとして昨年を締めくくった後の未曽有の震災。言葉にならない。

北川フロム氏

昨年の地震の災禍を乗り越えてホッとして間もなくの、年明け早々の巨大地震

「言葉にならない。」これ以外に言葉ありません。北川フロム氏の文章からは、言葉にはしがたい衝撃の大きさと無念さが伝わってきますが、北川氏は、珠洲能登の風景の美しさ、古くからつづく伝統産業、現在にまで受け継がれてきた海山の神々をお祭りする神事や、豪壮多彩なお祭りの数々など、珠洲の豊かさの源であった、人々の暮らしのありようをも語っています。

読みながら、彼の地を知らない者にも無念の思いがこみ上がってきます。しかし思えば、珠洲能登の自然や歴史や暮らしは、かつては日本中で共有していたはずのものです。喪失は永遠にはつづかないはずです。

映像を介して、能登に再見し、破壊されたものの大きさを再度確認したいと思います。

石川県能都町 美しい能登

上記サイトにもある能登を含む、石川県の主要産業である漁業の拠点であった漁港も、大規模被害に見舞われています。

むき出しの海底 傾く船に「信じられない」 石川県内15港で隆起
朝日新聞社
「数千年に1回の現象」防潮堤や海沿い岩礁約4m隆起 石川 輪島
2024年1月13日 NHK

奥能登の神事「あえのこと」

新しいお祭りの奥能登国際芸術祭の作品については、作家の紹介も合わせて、以下の「美術手帳」のサイトにかなり詳しく紹介されていますので、ご覧ください。
強風や荒波を超えて。珠洲市を舞台とした「奥能登国際芸術祭2023」が目指す新たなつながりのかたち
美術手帳 2023.9.25

なお、北川フロム氏の寄稿は、他の地方紙でも紹介されているようです。

さとりの道

能登半島地震で失われたもの、破壊されたものは、数限りなくつづくと思いますが、他では余り見かけないように思われた、穴水町にある「さとりの道」についてもご紹介します。

さとりの道(穴水) きまっし金沢

このリンク先の紹介にもありますように、穴水町の高台に8つの寺社があり、1時間程度で周れる散策路「さとりの道」が整備されているそうです。お寺が集まった寺町は博多にもありますし、全国あちこちにあると思いますが、「さとりの道」のように、石畳や石垣がめぐる中を木々や花々が散策路を彩るという、美しい自然に恵まれた寺町は珍しいのではないかと思います。

一目見るなり、きれいだなあと思いましたが、穴水町も壊滅的な被害を受けていますので、「さとりの道」も無傷ではないはずです。

穴水町のさとりの道

地震前の「さとりの道」(穴水町

穴水町について

ここは押さえておきたい!七尾のおすすめ観光スポット27選 一休.com

他にもまだまだ、能登半島にはご紹介すべき所があるかと思いますが、
日本遺産「灯り舞う半島 能登〜熱狂のキリコ祭り〜」能登のキリコ祭り
に、網羅されているのではないかと思います。

九州でも似たような災害の襲来が

輪島塗の老舗、五島屋ビルの奇妙な倒壊写真については、すでにご覧いただきましたが、この奇妙な倒壊については、専門家の診断記事も出ています。

輪島の倒壊ビル、土台が地中の杭から抜けたか…東大教授「同様の被害は阪神大震災で見て以来」2024/01/09 読売新聞

ビルを支えていた杭がすっぽりと抜けたのが原因だとのこと。7階建てのコンクリート製ビルの土台の全てを杭からすっぽりと抜き上げるほどの強い揺れ、強い振動が発生したわけですが、この周辺では、ビルに押しつぶされた家屋以外は、木造家屋は全て無傷です。このビルだけが強烈な振動に見舞われたということです。不思議ですね。

実は、似たようなことが1,2年前に大分でも発生しています。地震ではありません。豪雨です。大分県にも被害が及んだ熊本地震は2016年ですので、熊本地震から5,6年後のことです。ただ、福岡市を除く九州各県には、地震並の被害をもたらす異常豪雨は毎年のように襲来していますので、何時の豪雨だったかは、即座には特定しがたいですが、去年か一昨年か、比較的最近のことです。

豪雨に襲われた大分のあるお寺が、突然激しい揺れに襲われて、一帯ではそのお寺だけが全壊したという。ご住職がお話しされているのをニュース動画で見ました。

別の事例です。お寺ではありませんが、嬉野だったか、佐賀県の老舗旅館が、異常豪雨に襲われました。異常豪雨は津波並みの破壊力がありますので、旅館は大きく損壊。翌年か翌々年かに、旅館は新築で再建されました。ところが新築再建したばかりのその老舗旅館を、またもや異常豪雨が襲いかかりました。規模こそ違いますが、輪島市総持寺に似た災害の再来です。

豪雨が数年後に、前回と全く同じ場所をピンポイント的に襲うことが、天然自然で起こりうるのかと大疑問を感じています。いずれも、熊本地震の後に九州を襲った豪雨です。

熊本地方も、熊本地震の後、球磨川流域を襲った豪雨で津波被害のような甚大な被害を受けています。球磨焼酎の蔵本も甚大な被害を受けましたが、この被害から必至で復旧復興を果たし、焼酎をアメリカにも輸出する準備を進めていたところ、またもや豪雨が襲い、甚大な被害を受けています。

福岡県の小石原焼の窯元も、豪雨で窯に大きな被害を受け、存続が危ぶまれるような状況に陥っていましたが、取引先やお客さんからの応援もあり、必至で壊れた窯場を再建。再出発へと足を踏み出したところ、またもや小石原に豪雨が襲いました。今度はろくろまでやられ、その上、材料となる土にまで被害が及ぶほどの大被害だったそうです。

こういう特定地域を繰り返し豪雨が襲うということが、天然自然で起こりうるのか、激しい疑問を感じています。

しかし、豪雨によるピンポイント襲撃を受け続けている九州各地の被災地の皆さんは、三度、四度、五度、、、諦めずに立ち上がっています。

馳知事の無責任さ

ところで、能登半島のありとあらゆるものが地震による壊滅的な被害に見舞われている中、またもや馳知事の無責任さに驚愕させられるニュースに遭遇しました。すぐさまXに怒りの投稿をしました。

文字数制限で批判の一部しか書けませんでしたが、facebookにはもう少し長く書いています。

2次避難先 食事提供なく 避難所戻る人も【被災地の声 26日】 | NHK https://www3.nhk.or.jp/.../20240126/k10014335581000.html

「石川県は県民に対して、二次避難所としてホテルや旅館を勧めていますが、県からの補助も対策もなく、食事なし、駐車料徴収という異常さを放置。無責任、無能。

信じられない無責任ぶりですが、通常、仮に県知事が無能でまともな対策ができない場合でも、職員が緊急時対応を知事に具申して、知事が即効的に対応を進めるように促すはずですが、石川県では、知事以外の職員も無責任なのでしょうか。あるいは馳知事は自分と同レベルの職員を抜擢してるのでしょうか。」

facebookの投稿より

石川県は、2次避難を進めるに当たっても、市町村には事前連絡はもとより、直接の連絡は皆無のまま開始し、市町村はマスコミ報道で初めて知るという、行政能力ゼロとしか思えないような異常な対応ぶりでしたが、避難先での対応はさらに超無責任。

2次避難先に被災者を誘導した後は、避難先のホテルや旅館に全てお任せ。ホテルや旅館が自腹を切って被災者を世話するのが当然だといわんばかりの異常な無責任ぶりです。ほんとに信じられない事態ですが、馳知事には、何としても、被災している県民の命を救いたいという気持ちはひとかけらも無いとしか思えません。

県にも予備費のようなものがあるはずですし、2次避難に必要な予算などうにでも捻出できるはずです。ホテルや旅館には、必要な費用は全て県が持つから、被災者の皆さに安心して過ごせる場を提供してお世話していただきたいとお願いするのが、緊急時に執るべき知事の対応ではありませんか。

県だけでは難しければ、国にも協力を仰ぐ。岸田政権は、震災対応が遅いとの批判を回避するためにも、すぐにも協力に動くはずです。馳知事は、何もしないで被災者を放置したまま。餓死してもかまわないとでも考えているのではないか。

せっかく2次避難先に行っても食べるものがないので、元の避難所に戻らざるをえない異常さを放置している石川県には、まともに仕事のできる職員はいないのではないかとさえ思います。もちろん、そういう人的選択をし、業務の指示を出している、馳知事の意向が全面的に反映されたものであることは言うまでもありません。

あるいは、能登半島地震と政治にもご紹介しましたように、自民党石川県連として、全国に向けて発信した被災者への支援金募集においてさえ、募金先口座に馳浩の個人名口座を登録していたことから類推すると、国からも提供されている被災地支援金も極力使わずに、ひそかに知事個人の懐に入れようと企んでいるのではないかとさえ考えてしまいます。

実際にはそんな公金横領は不可能だろうとは思いますが、2次避難先に県として資金を投じないという姿勢は、そんな類推、邪推すら惹起させるほどに超異常です。石川県民の皆さまは、未曾有の地震被害に加え、馳知事という異常な人的被害まで重なるという二重、三重の被害に苦しめられています。

岸田総理は、馳知事抜きに、直接能登半島地震対策を進めるべきではないですか。馳知事だけではなく、知事周辺の幹部職員も行政経験ゼロの素人集団としか思えないような、無責任で無能な人たちばかりです。

官邸地下には、官邸と全省庁とを繋いで、迅速に緊急対応が可能な設備の整った施設もあるはずですので、国の機関挙げての対応をお願いしたい。

政治資金パーティ問題 

しかし政治家の劣化は、馳知事だけの固有の問題ではありません。今回の政治資金パーティ問題では、大山鳴動、鼠2匹? 検察は腰が砕けてお役目を十分には果たしていませんが、大山鳴動は、自民党政治家たちの、深くしみこんだ腐敗体質をあぶり出す効果はありました。

政治資金パーティをめぐって、今回あらためてあぶり出された自民党政治家による巨額資金の不正使用の常態化は、日本社会の腐敗を先導するものだと思います。この問題の根本には、政治資金に対する会計処理の緩さがあります。

緩いというよりも、使途を明示して記録する必要なしという異常なものです。政治家個人であれ、政党であれ、また税金からの補助金であれ、民間から集めた寄付であれ、政治家・政党が得た収入は全て、領収書等も添付して、収支を明確に記録すべきです。

国民は法人であれ、個人であれ、1円にいたるまで全て記帳が義務づけられています。なぜ政治家だけに、その義務が課されずに、特権的に使途不明で消費することが許されるのか。使途明示を義務づけられたら政治活動はできないというのであれば、そんな政治家は政治家を辞めろ!と言いたい。

また、政治団体(派閥)の財産は無税で継承できるとい特権も廃止して、国民一般と同様課税すべきです。政治資金の無税枠も撤廃すべき!

あるいは、政治家に使途不明OKや無税枠を存続させたり、相続税をゼロにするのであれば、国民(法人・個人)にも、使途不明OK枠や無税枠、相続税ゼロ枠を設けるべきではないですか。

そういう特権が政治家を腐らしているのですよ。なぜ政治家にだけ、税法上の異常特権が付与されるのか。今国会でとことん論議すべきです。不正に手にした資金の使途についても、領収書等の証拠添付で明らかにすべきです。

資金集めを禁止するよりも、収支を1円に至るまで明示化することを義務化することで、カネにまつわる不正はかなり軽減されるはず。名前を伏せて個人献金をしたいという有権者もいるそうなので、寄付に関しては、全てを明示するかどうかは論議する必要はあるかと思いますが、支出は全て使途明示を義務づけるべきです。ルールもすっきり分かりやすく、違反抑止にも効果的です。

当然、収支報告書はデジタル化して公開すべきです。国として、莫大な税金を投入してデジタル化を進めているにもかかわらず、政治資金に関しては除外してきたのは余りにも異常な政治家特権です。

また、連座制の導入も当然であり、必須不可欠です。企業のトップは、企業の不正が発覚した際、現場の担当者の責任で自分は知らなかったという逃げが許されないのと同様です。いかなる場合もトップは、法令遵守完遂の最高責任者です。連座制導入に反対するであれば、民間にも同様の制度を設けるべきです。

政治家の保身を可能にするような様々な政治家特権を許す現行制度が、安倍派をはじめとした自民党政治家の腐敗の土壌になっているわけですから、即刻政治家の破廉恥な逃げを許さない制度にあらためるべきだと思います。

政治が腐ると日本が腐ります。

能登半島地震と政治

新年早々の日本を襲った能登半島地震。政府による救助、救援の遅さは繰り返し批判されていますし、ピントはずれの無能ぶりを晒している石川県の馳知事の言動もSNSで広がっています。

1.ピント外れまくりの馳知事

もっとも驚いたのは、能登半島では、2007年には今回と全く同一地域の能登半島に、マグニチュード6.9という、今回と同じくらいの大きな地震が発生していたことです。

200701:2007年(平成19年) 能登半島地震・石川県 内閣府防災情報のページ

(1)被害の概要
・平成19年3月25日9時41分、能登半島沖の深さ11kmでマグニチュード6.9の地震が発生し、石川県七尾市輪島市穴水町震度6強を観測した。気象庁は、この地震について、「平成19年(2007年)能登半島地震」と命名した。
・この地震により、死者1名、負傷者336名、住家全壊609棟、住家半壊1,368棟、住家一部破損12,326棟の被害が発生した。土砂災害は、天然ダム3件、地すべり10件、がけ崩れ51件が発生した。能登有料道路の被害も甚大で、能登半島では、風評被害とも相俟って観光面に大きな打撃を生じた。

200701:2007年(平成19年) 能登半島地震・石川県

さらに2020年末頃から現在まで、能登半島には、継続して群発地震が発生しつづけ、昨年5月5日の連休、子ども日には、マグニチュード6.5の地震が発生しています。特に馳氏が石川県知事選に勝利して知事に就任した2022年3月以降、マグニチュード5以上の大きな地震が相次いで発生しています。

2022年能登半島地震、発生地図

わたしは今回の地震まで気がつきませんでしたが、能登半島では、他地域には例のないほどの頻度でかなり大きな地震が頻発しています。これほど地震が多発している地域であるならば、他県にも増して地震対策が入念に準備されているはずですが、石川県・馳知事にはほとんどその危機感は感じられません。

馳知事のピントはずれの無能ぶりはSNSでも拡散されています。

発災時は東京にいた馳知事は、自衛隊に救助要請は出したものの、すぐの出動ではなく、翌朝一番での出動を要請しています。発災直後の1月1日の時点ですでに、生き埋め6件が確認されていたにもかかわらずです。

下図は馳知事のX投稿の画像ですが、昨夜公開時はこのXは表示されていましたが、今(12/14)見ると、削除されていました。下段の「馳知事の驚愕のX投稿」のみならず、当サイトでご紹介している、馳知事の都合の悪いX投稿は次々削除されています。(12/14)

ただし、このX投稿データは別に保存していましたので復活させることができました。一方、下方に掲載していた義援金に関するX投稿データは、このWordpress(WP)に直接挿入しましたので、WPから削除されたらそれっきりです。(12/15)

すぐの出動を要請しても、本格出動は翌朝にならざるをえなかったかもしれませんが、自衛隊は、知事の要請が出る前の発災直後からすでに、自主的に被災地への派遣準備を進めていたという。

これはNHKのラジオニュースで、知事からの要請はまだ出ていないが、自衛隊は自主的に派遣準備を進めているとの林官房長官の談話を報じていました。わたしは、林官房長官の生の声で聞いております。

自衛隊はHPに、時系列に沿って、被災地支援活動を表にまとめて公開していました。自衛隊は、発災後すぐに自主的に被災地派遣準備に着手したことが時刻入りでリストに記載されており、その後、馳知事からの要請が入ったことも、全て時刻入りで記載されていました。

この活動一覧表は、Xにも投稿されていましたが、わたしは自衛隊のサイトでも直接確認しております。画像にして保存していたならば証拠として残っていたはずですが、自衛隊のHPが書き換えられるとは夢にも思わず、Xすら保存していませんでした。

この一覧は、現在は自衛隊のサイトからは削除されています。代わりに、自衛隊が自主的に派遣準備を始めたことは削除されており、馳知事からの救助要請が活動の始点のような印象になっていますので、この表にはリンクは貼りません。

また、SNSでは話題になっていませんが、石川県・馳知事による避難対策の無能ぶりも、前例がないと思います。

弁護士などの有識者グループは、4日と6日だったか7日かの2回、水も食料も暖房もない自治体指定の避難所ではなく、もっと広域避難を実施すべきだとの提言を発しています。2回も提言を発信したということは、1回目の発出だけでは、政府はもとより、現場の石川県もすぐには対応しなかった模様。

その後、動きの鈍い石川県も二次避難を進める方針を明らかにしましたが、市町村などは県によるこの新方針は、テレビやラジオなどのメディアを介して初めて知る状況で、県からの直接の連絡は皆無。県もこの状況は承知していますが、連絡手段がないので仕方がないとのこと。いくら大地震発生下にあるとはいえ、前代未聞の無能、混乱ぶりです。

地震多発下にあったにもかかわらず、馳知事の石川県では、その対策が事前にはほとんど準備されていなかったことが次々と明らかになってきています。馳知事の無能ぶりにリンクして、巨大地震が発生したのではないかとさえ思いたくなるような状況です。

2.岸田総理の人命第一の本気度?

岸田総理も、人命救助が最優先、迅速な被災者支援をと繰り返し表明していますが、総理のかけ声とは裏腹に、実際の対応は後手後手続きになっています。

政府の対応の余りの遅さに、わたしは、岸田総理は意図的に救助を遅らせ、ひそかに被害の拡大を狙っているのではないかとさえ勘ぐっていました。被害が大きくなればなるほど、岸田降ろしや、政権交代の動きは自粛を余儀なくされ、岸田政権の存続が可能となるからです。

本気で被災者を救おうというのであれば、ありとあらゆる手段を駆使するはずですが、岸田総理にはそうした必至さは感じられず、与野党による党首会談では、なんと、被災地への視察は行わないという取り決めまで交わしたという。

災害発生時に、与野党の党首会談で、こんな取り決めを交わしたというのは前代未聞ではないかと思います。道路が寸断されている現地での救助、救援活動を邪魔しないための配慮だとしても、与野党の党首会談で取り決めることなのかと、理屈抜きの感覚的な違和感を感じます。

ところで、アメリカのバイデン大統領は、発災直後に日本に対して、あらゆる支援をする用意があると表明しましたが、対米超盲従の岸田総理はなぜか、大統領のこの申し出は受けていません。

米、能登半島地震で支援を用意 バイデン大統領「私たちの思いは日本の人々と共に」
2024/1/2 産経新聞

指揮系統が複雑になって、かえって救援作業が遅れると考えたのか。あるいは、米軍に対しては、岸田総理の指揮が及ばないことを危惧したからか。はたまた、救援後、米軍から高額の協力金を請求されるおそれがあることを心配したからなのか、理由は分かりませんが、すぐさま米軍の支援を受けていたならば、もう少し救えた命もあったはずですし、道路の復旧も早くなったはずです。

岸田総理には、あらゆる手段を使って、被災者を救うという必至さが不足していたのではないか。台湾からの救助活動の申し入れもあったそうですが、米軍を断るぐらいですから、こちらも断っています。

ただ、東日本大震災時にも、民主党菅直人総理も米軍の数度にわたる救助支援の申し入れを受け入れませんでした。しかし米軍は、余りの惨状に座視できないと考えたのか、日本政府の要請なしに自主的に救援活動を開始。後に菅直人総理が米軍に感謝するという展開になりました。

米軍は、今回の能登半島地震では、日本政府の要請なしの自主的な救援活動は行わない方針らしい。残念と言えば残念です。

なお、蛇足ながら付け加えますと、菅直人総理は、米軍の救援は断る一方、韓国軍の救援は発災後すぐに受け入れています。不思議ですね。立憲民主党の評判をこれ以上悪くすると、腐った自民党が腐ったまま勢力を温存しそうなので、この事実を付け加えるかどうかかなり迷ったのですが、やはり、事実は事実として公開すべだと思い、公開することにしました。(12/14)

菅直人氏は次期選挙には出ないで、国会議員は辞める意向を表明しましたので、菅直人氏と同じような選択をする議員はいないと思いますし、そう思いたい。立民の議員の皆さんは日本の国会議員であることを、片時も忘れないでいただきたい。(12/15)

馳知事の驚愕のX投稿

馳知事のX投稿画像が削除される

上部に、自民党本部を振り込み先口座名義にした能登半島地震義援金お願いX、下部に馳知事個人名を振り込み先口座名義にした能登半島地震義援金お願いXが、対比的に連なったXの画像を埋め込みにしていたのですが、編集渦中に画像が消されてしまいました。画像には「馳知事が中抜きしても分からない」とツイートされていました。(12/13)

このX投稿画像は、昨日、公開直前に削除されていることに気がついたのですが、「1.ピント外れまくりの馳知事」に掲載していたX投稿画像は、公開時には表示されていました。ところが今日、確認したところ、削除されていることに気がつきました。当サイトで公開する、馳知事にとって都合の悪いX投稿は次々と削除されています。当サイトに侵入し、都合の悪いX投稿を削除しまくっている、馳知事シンパの監視部隊はどういう勢力なのでしょうか。(12/14)

上方に掲載している、自衛隊要請のX投稿データとは異なり、こちらのデータはこのWordpress(WP)に直接挿入しましたので、WPから削除されたらそれっきりです。(12/15)
画像は消されてしまいました。

能登半島地震被災者支援募金のお願いXですが、上が自民党本部のX、下が馳知事のX。馳知事は、振り込み先の口座名義を、馳浩という個人名にしています。ここに振り込まれた支援金が、馳浩知事個人の懐に入っても誰にも分からないのでは? 支援金のネコババ

似たようなケースが、東日本大震災でもありましたね。大阪経済界の皆さんが、白鵬を招いて被災地支援のパーティを開き、かなりの額の義援金が集まったそうですが、ゲストである白鵬義援金全額を持って出たという。週刊誌に出てました。

白鵬が、自分一人で集めた義援金だと被災地に届ければ、被災地への支援金としては全額届いたことになりますが、中抜きしたり、ネコババしても分からないはず。

そういえば、馳氏は文科大臣時代、親分の森喜朗氏ともども、白鵬の卑怯な反則技を支持してましたね。ひょっとして、被災地への義援金でも両氏は共に反則技を駆使なのか。ただし、馳氏はここまでSNSで拡散させられると、反則技も使えないとは思いますが、抑止効果も狙って、当サイトでも拡散しておきます。

なお、目下大問題になっている政治資金パーティの裏金問題でも馳氏は、逃げの一手です。
明言避ける馳知事 機密費に続き、パーティー券も同じ回答繰り返す
2023年12月19日 朝日新聞

軟弱地盤の辺野古基地、埋め立て強行

 地震多発地帯の日本でも、かつて見たこともないような超巨大な地割れが、能登半島を覆うほどの巨大地震に襲われたさ中、高裁のお墨付きをえて、沖縄の辺野古基地の埋め立て工事が、前代未聞の国による代執行で強行されています。

一帯は軟弱地盤を抱えており、1兆円近い税金を投じてなされる工事ですが、工事終了には12年もかかるという。

12年も経てば、中国も北朝鮮も、世界情勢も変わっているはずですし、いったいいかなる意味を持つ工事であり、税金投入なのか。

米軍関係者も、軟弱地盤や滑走路が短いという、軍事基地としては致命的な欠陥には内心危惧しているとのことが以下の記事に紹介されています。

辺野古移設 アメリカ軍担当者が垣間見せていた本音とは 
NHK 2024年01月11日

滑走路が短いことは、当初から何人もの日本の専門家が指摘していたことですが、米軍は、短くて使いものにならなければ嘉手納基地を使うと平然と語っているのですよ。何のための辺野古埋め立てなのか。ましてや、軟弱地盤の恐怖を、能登半島の至る所で目にしている今、軟弱地盤の基地なんて、何の役にも立たないことは子どもにも分かる道理ではないですか。

それとも、米軍基地では絶対に地震は発生しないという掟のようなものがあるのですか。 

note:ChatGPT-3.5から4へのブレイクスルーを能登半島地震の中で考えた

noteに最新号「ChatGPT-3.5から4へのブレイクスルーを能登半島地震の中で考えた」を公開しました。

「note」では、文中に「能登半島地震」という単語が使われているだけで、危険!の警告が貼られてしまいます。過剰検閲ですね。その一方、警告文の中で寄付を募る不可解さ、矛盾。

 能登半島地震」に関係する内容の可能性がある記事です。

情報の真偽を確認し、複数の情報源から総合的に判断することをおすすめします。 ※すべての関連記事に一時的に注意書きを表示しています

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